バイロイト・バロック・オペラ・フェスティヴァル その2
2020年9月にドイツのバイロイトでバロック・オペラ・フェスティヴァルが開催されたのだが、コロナ禍で日本から
ドイツに渡ることはほぼ不可能であった。
その1で記したようにチケットも販売しなおしたほどである。
そうしたファンに配慮して、主催者は、Facebook を通じて、ほぼすべての上演およびコンサートを
配信してくれた。最初にチケットを予約した人たちにはその旨の連絡もあった。
しばらくすると、ポルポラ作曲のオペラ《Carlo il calvo》は You tube で配信され、現在でも通常のネット環境があれば誰でも観られる状態になっている。
ここで You tube の見方について報告したい。
というのも You tube での音楽配信と言えばPC で見るものという誤解を筆者自身もつい最近までしていたからだ。
必要があってテレビを買い換えたのだが、最近のテレビの多くはyou tube が見られるのだ。DVD・ブルーレイ・レコーダーもそうらしい。
テレビでなら50インチとか60インチの大画面で見られるので迫力が違う。画面は鮮明であるし、音も大変に良い状態で享受できる。
ただし音質を良い状態で享受するには、ステレオ・システムとのテレビを連結する必要があるだろう。
拙宅の場合、テレビの置いてある脇にスピーカーがある。逆に言うとアンプやCDプレーヤーのラックの上にテレビがのっている。
実はここでテレビとステレオの接続・連結には1つやっかいな点がある。以前のテレビには音声出力端子がごく普通のラインケーブルをつなげるものがあったのだが、最近のテレビはラインケーブルを使用できる音声出力端子が消滅している。テレビにある端子はほとんどがHDMI端子で、これは音声と画像の両方を伝達するHDMIケーブルが接続できるのだが、ここが問題で、いわゆるAVアンプならテレビとはHDMIケーブルでつなげば良いのである。そうではなくて、通常のステレオのアンプ(オーディオ用のアンプ)には、ごくごく一部の海外メーカーと国内メーカーのごくごく一部の機種を除いて、HDMI端子はついていない。ではどうテレビとステレオをつなぐかというと、テレビの光出力端子からアンプまたはCDプレーヤーの光入力端子へとつなぐのである。筆者の場合は、アンプに光入力端子がなく、CDプレーヤーにはあるので、テレビ音声はテレビからCDプレーヤーに来て、そこからアンプへと来てスピーカへと出て行く。
Youtube にはいろいろなコンテンツがあるので、もとの録画が古いものは大画面で見るとアラが目立つが、2020年にプロ用の機材で録画された今回の音楽祭のものはハイヴィジョン・レベルの画像である。また、音声も相当に満足度の高いレベルになっている(さすがにごく最近のCD録音のレベルと比較すれば音のエッジ、アタック音の鋭さにおいて聞きおとりがするが、CDとは異なり画面があるので、普通に観ていればまったく気にならないレベルであると言える)。たとえば1980年代のDVDで出ていた任意のオペラ・ソフトと比較した場合、むしろこちらの方が鮮明な音であると言ってよいと思う。
オーディオ再生に関する好みは様々であることは承知の上だが、20年、30年前のスピーカーと最近のスピーカーの違いで気づいたことがある。音のトランジェント(立ち上がり、立ち下がり)の表現が精細になっているのだ。画像で言えば、解像度が上がっているという感じ。もう少し具体的に言うと、筆者の場合、古楽器、ピリオド楽器を聴くことが増えて、その音の再現を求めていくと、モダン楽器と比べてアタック音(出始めの音)の再生がより肝心であることに気がついた。モダン楽器はピアノにせよ、ヴァイオリンにせよ、原則として均質な音を良しとしてきたわけだが、古楽器の場合、弦楽器で言えばダウンボウとアップボウでは明らかに表情が異なる。音が均質でない表情の豊かさが強みとなっている。その再現をもとめると最近のスピーカーに強みがある。
無論、PCでの再生の場合も、PC用のスピーカーをつけると、PCだけの場合と比べると格段に迫力のある音で楽しめる。この場合は、USBで接続する場合と、イアホン端子でつなぐ場合がある。ミニコンポがある場合には、ケーブルを買い足して、イアホン端子とミニコンポの入力端子とを結べば、特に中低音の響きが豊かになる。
いずれにせよ、もとの録音とアップロードの質の高いコンテンツでは、Youtube で相当の画質・音質が享受できるとわかった。
バイロイト・バロック・オペラ・フェスティヴァルの最高のコンテンツであるポルポラのオペラ《Carlo il calvo》が無料で公開されているのは、最高に素晴らしいことだと思う。
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