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2020年12月26日 (土)

ポルポラ作曲《Carlo il calvo》第一幕

ポルポラ作曲のオペラ《Carlo il calvo》をFacebook および Youtube で観たのだが、あらすじを紹介しよう。

このオペラは、1738年当時ローマを代表する Teatro delle Dame 劇場で初演された。

ストーリーの枠組みとしては、カール大帝の息子たちや孫が、継承権をめぐって争っており、そこに恋愛を絡めた物語となっている。

第一幕が開くまでの状況:

カール大帝の三男ルートヴィヒ1世(ルイ敬虔王)は2人の女性、イルムガルトとジュディッタと結婚した。817年に彼は王国を分け、長男のロタリオを副帝とした。しかし二番目の妻にうながされて、12年後に遺言を書き換え、ジュディッタの6歳の息子カルロを継承者とした。

第一幕 註:今回の上演では、原作での舞台は中世のヨーロッパなのだが、1920年代のキューバに移し替えられている。各場のアリアのあとに

      あるコメントは、アリアについての性格と今回の上演でどういう場面かの説明である。あらすじをざっと知るためにはこの部分のコメントは読み飛ばしてください。 

第一場:ルートヴィヒが死に、ロタリオはジュディッタおよび息子から帝国の継承権を奪おうと考えている。このためロタリオの腹心アスプランドはカルロはルートヴィヒの嫡子ではなくてジュディッタが彼女の腹心ベラルドとの間にもうけた子であるという噂を広めようとする。未亡人のジュディッタはそんな計略があるとは知らず、自分の娘ジルディッペとロタリオの息子アダルジーゾを結婚させることで一族の結束を取り戻そうと考える。アダルジーゾ(ファジョーリ)とジルディッペ(レジネバ)は本当に愛し合っているので、ロタリオは自分の謀略を息子のアダルジーゾには明かさないようにとアスプランドに命じる。

第二場:ベラルドはジュディッタとジルディッペの到着をつげる。ロタリオは喜ぶふりをする。(アリア:Vado nello splendore) ロタリオ(ツェンチッチ)が歌うゆるやかなテンポの歌。

第三場:アダルジーゾは何か不自然なものを感じ、父にそのわけを尋ねる。アスプランドは、仕事の重責のためだろうと言う。

第四場:ジルディッペがやってきて、結婚式の日についての不安を語る。アダルジーゾは彼女をなだめようとする(アリア:Tornate tranquille).喪服の二人。アダルジーゾ(ファジョーリ)がジルディッペ(レジネバ)をなぐさめる

第五場:ジルディッペは悪い予感を禁じ得ない(アリア:Sento, che in sen turbato).葬式の人々帰る。ジルディッペは心の動揺を表すように音程の大きく開いたメロディーを歌う。

第六場:ジュディッタは家庭内の不和はおさまったと思う。ベラルドはロタリオの野心を警戒せよといい、彼女への忠誠を誓う(アリア:Sai che fedel).場面が変わってジュディッタとベラルド。8分の3。ベラルド(デ・サ)の最初のアリア。

第七場:ジュディッタは娘のエドゥイージェに、政治的な理由でベラルドと結婚せねばならないと言いきかせる。エドゥイージェは従うことを約束する(アリア:Pender da cenni tuoi).

第八場:ジュディッタとロタリオは腹に一物をかかえながら、互いをほめたたえる。とうとうロタリオが本音を明かす。彼はカルロの継承権を認めない、なぜならカルロがルートヴィヒの息子ではないという噂があるからだ、と告げる(アリア:Se rea ti vuole).4分の4.ロタリオの歌で、オケが時々低音部に威圧的な表情を加えて(激しいアタック音を伴う)いるのが効果的。

第九場:ジュディッタは、娘のジルディッペにアダルジーゾと距離を置くように命じる(アリア: Pensa, che figlia sei).4分の4.途中ABA'のBの部分は8分の3.語りかける相手に主張する時には4分の4が用いられる傾向があるかもしれない。私が母であることを考えなさいと、娘に従順を押しつけている歌。

第十場:ジルディッペは嘆く(アリア:Se nell'amico)8分の12(A)と8分の3(B)。8分の12の独特の流麗さで始まりB(8分の3)ではため息をつくように、休符が入る。様式美を持った嘆き。

第十一場:ジュディッタはロタリオとの衝突をものともせず、息子の継承権を確立しようとする。アスプランドは彼女と息子に、言葉巧みに、敬意を表する。ベラルドはカルロの王位継承を要求するが、ロタリオはベラルドがジュディッタの愛人であり、カルロはその子だとして王位継承を妨害する。ロタリオは衛兵に、ジュディッタ、その息子カルロ、ベラルドを殺すよう命じるが、アダルジーゾが間に割って入る。アスプランドも、ジュディッタの味方のふりをする。両者はロタリオを非難する(アリア:Vorresti a me).エドゥイージェ(ワン)の歌。半音階や転調が多く、母に従うという言葉とはうらはらに揺れる気持ちがうかがわれる。4分の4。ジュディッタの激しい、テンポの速いアリア。ジュディッタとロタリオが対峙している。周囲にはマフィアの部下が取り囲んでいる。

第十二場:ロタリオは息子アダルジーゾを拒絶する。

第十三場:アダルジーゾは希望が打ち砕かれたことを嘆く(アリア:Saggio nocchier).退場アリアである。レチタティーヴォ・アコンパニャートの部分から楽譜への表情記号の書き込みが多い。またアリアが始まると、今までのアリアとは異なり、1ページをフルに使って楽器の指定もCorno  di caccia や Oboe と明記されている。作曲家の力の入れようがうかがわれるが、メロディー的にはあるフレーズの異様なまでに執拗な反復があり、奇異な印象を残すアリア。

以上が第一幕のあらすじである(プログラムを参照した)。

 

 

 

 

 

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