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2020年5月 7日 (木)

カヴァッリ《エルコレ・アマンテ》

カヴァッリ作曲のオペラ《エルコレ・アマンテ》を観た。観たと言っても、ストリーミングである。Opera on Video というサイト。上演はパリのオペラ・コミック。指揮はRaphael Pichon. 演出はValerie Lesort, Christian Hecq.  衣装はLaurent Peduzzi. 歌手は

コロナのご時世なので、実物を見る機会に恵まれなかったオペラで自分にとって興味深いものを、劇場が庫出ししてくれるのはありがたい。

全ての上演がDVDやブルーレイになるわけでは全然ないのは周知の通りで、その中にはもったいないと思わずにいられないものも少なからずある。

このエルコレ・アマンティは演奏もメリハリがきいていて良いのだが、演出が素晴らしい。衣装も含め、漫画的だがエレガント、ポップなのだが安っぽくない。ボニタティブス演じるジュノーは四つ目だったりして楽しいし、いくつもの場面でびっくりして、ニッコリという仕掛けがあちこちにある。

このオペラはルイ14世の結婚式のために作られ、カヴァッリがイタリアから招かれたわけだが、劇場の音響が良くなかったとか、フランス人の好みに合わなかったとか、何らかの理由で、大受けはしなかったらしい。しかし今観て見ると、ストーリーも面白い。エルコレ(ヘラクレス)が息子の婚約者に惚れて、それに対し妻が怒って婚礼衣装に毒を塗り、エルコレが死んでしまうが、天に登って別の人と結ばれる。息子はめでたく婚約者と結ばれめでたし、めでたし、というような話だ。

舞台の色彩感も、音楽も、古色蒼然としたところがなく、不思議な世界を味わうことができる。

 

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