ツェンチッチ「ヴィヴァルディのカンタータ」
カウンタテナー歌手Max Emanuel Cencic のThe Vivaldi Album というCDを聴いた。指揮はKarsten Erik Ose, オーケストラはOrnamente 99. 中身は、ヴィヴァルディのカンタータを歌ったもの。
新譜ではなく、2003年の録音。
カンタータというと、バッハの教会カンタータのイメージが強いが、これはそうではなくて、愛、しかも世俗的な愛を歌ったカンタータで、5つのカンタータが録音されているのだが、3曲はアリアーレチタティーヴォ−アリアの形を持ち、2曲はレチタティーヴォーアリアーレチタティーヴォーアリアの形を持っている。アリアの部分ではソロ(独唱)とオケのリトルネッロ(繰り返しの部分)が交互に来て、主調が確立されたのち、転調し、最後に主調に戻る。指揮者の書いたライナーノーツによると、楽譜には通奏低音でファゴットの指定はないのだが、ヴィヴァルディの他作品でのファゴットの使用を参考にしてここでは用いているという。
歌詞は例えば、「彼女がつれなくても、神よ、僕は彼女が好きです」「おお僕の傷ついた心よ、お前は囚われた。。。しかし彼女の美に囚われたのはお前が最初ではないし、お前だけではない」と言ったもので、愛の神が出てきたり、自分を嵐の海で難破しそうな船にたとえたり、あるいは牧歌的な世界を描いたりと、バロック・オペラの一部を抜き取ったような感じである。
ツェンチッチの歌唱も、オゼの指揮も、まっとうなもので、最近のバロックものと比べると尖った感じは控え目だが、このレパートリー自体が評者には新しかった。
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