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2020年2月18日 (火)

映画「バングラ」

イタリア映画「バングラ」を観た。

機内であったが、日本語字幕付き。主人公は、両親がバングラデッシュ人だが本人はイタリア生まれのイタリア育ち。

ローマの郊外の移民の多く住む地域に住んでいて、自分の入り組んだアイデンティティーを強く意識している。

全体としてくくればコミカルば恋愛映画と言えないこともない。主人公ファイムの友人は同じようなバングラデッシュ系の

若者ばかりで、民族系のバンド活動などもしているのだが、仕事としては美術館の監視員をして、フラッシュを焚かないでください、とか

線を超えて美術作品に近づかないでください、といった注意をしている。

そこで非バングラデッシュ系の、フツーのイタリア人と出会う。友人からはやんわり反対される。というか友人は

バングラ系でない女の子には興味を持たないという。その友人はかなり母親の言うなりなので、異性に対する選好も母親からの

影響が強いのかもしれない。

一つ個人的に興味深かったのは、この中でイスラム教徒だから豚を食べないと言う話題がなんども出てくる。それに加えてだから臭いとか

臭くないと言う話だ。今まで考えたことがなかったのだが、そう言うこともあるかもと想像したのだ。筆者はベジタリアンではなく、豚肉を日常的にいただいている。ただ、20、30年前には職場で、会議中も禁煙ではなかったのだが、最近は職場でも多くの公共の場でも禁煙になった。するとたまにタバコの臭いがすると臭いと感じてしまうのである。以前より一般的な臭覚が敏感になったのではなく、タバコに関してはタバコレスが日常化したために、ある状態に対して敏感になったのだと思う。とすると、豚肉を食べる食べないでも、食べない状態が当たり前になったら、食べた人の口臭や体臭がきになると言うことが生じるのだろうか、と言う疑問がわいた。

ムスリムはお酒も飲まないのだが、仲良くなった彼女の友人がカクテル的なものを飲ませてしまい、ひどい目にあう。

もう一つの最大なテーマは、結婚前は純潔を保たなければならない、と言う点をめぐってだった。主人公は自分に性欲があることは認めているのだが、戒律を守らねばと言う意識も強い。一方、仲良くなったアジアは、父はアーティストで離婚しており、性に対する抑制はほぼない。その葛藤は

性を巡るもの、家族をめぐるもの、仕事や住居に対する考えなど、多岐にわたり、かつ、生々しい現実の問題でもあり、惹きつけられる。ファイムはアジアと思わず、キスをしてしまう。そこで悩み、宗教上の師に相談したりするのが、新鮮であり、ユーモラスでもあり、宗教が違うとこう言うことになるのか、と言うことでもあった。

ファイムの母がロンドンに憧れ、ロンドンにさらに移住したいと思っているのもなかなか皮肉である。

ファイム・ブイヤンが主演、監督。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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