映画『シュターン夫人』
アナトール・シュスター監督、アハマ・ゾンマーフェルト主演、「シュターン夫人」を観た。機内でドイツ映画の選択肢はこれだけだったのだが、
渋い面白さのある映画ではあった。
主人公は90歳の老婦人(今日では何歳から老をつけて良いのか良くないのか、どんどん後ろにずれていて、60代なら子供から見れば老人なのだが大人の世界に入ると、60代ではまだまだ70代、80代は層が厚く、90代も決して珍しくない現今で、中年くらいの感じが強いのではないか)がフラフラと生きている物語。
冒頭からこのひと、もう生きているのが嫌になったから死にたいと思うのだが、なかなか銃が手に入らない。このあたり物騒だから、と言う理由を述べると、じゃ催涙ガスがいいでしょう、と言われてしまうのだ。淡々としたユーモアの中で、近所の訪問床屋からマリファナを作ってもらったり、娘や孫娘との交流が描かれる。ありがちだが、孫娘は母親には本音を言わず、祖母には本心を吐露するのだ。祖母は、一歩引いた所にいるから、あれしろ、これはするなと言う物言いはしないのである。
いかにもドラマチックなことはあまり起きないのだが、不思議と退屈はしない映画だった。
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