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2020年1月13日 (月)

アレッサンドロ・スカルラッティ『貞節の勝利』

アレッサンドロ・スカルラッティのオペラ『貞節の勝利』を観た(テアトロ・ジーリオ・ショウワ、新百合ヶ丘)。

とても面白いオペラだし、演奏の水準もとても高いもので、深く満足した。

舞台は17世紀のピサ。今回の演出では20世紀のナポリ近郊に登場人物のお墓があり、子孫がお参りをするという枠構造を作っていた。取り分けて面白いとは思わなかったが、音楽の邪魔になるということはなかったのが良かった。頻繁に上演されるレパートリーものなら読み替え演出も悪くはないが、初めて観るようなものだと思慮の足りない演出家による読み替えだと登場人物の身分関係(主従関係)などが全くわかりにくくなり、ストーリーをフォローすること自体が一苦労、二苦労、いやそれどころか不可能になることもままある。今回の演出はそういうことがなかったので優れた演出だったと思う(という評価の仕方も変だが、そうならざるをえないのは現今の演出の傾向ゆえなのだ)。

「予習」のためにCDを探してみたが入手できたのは、50年ほど前にジュリー二が指揮した演奏のみ。録音も演奏も古色蒼然としていたが、何度か聞くうちに耳になじむチャーミングなメロディがいくつもあるのに気づいた。今回の上演は演奏様式も現代のヨーロッパのバロック演奏の標準を踏まえたもので、新鮮で生き生きとしている。指揮もキビキビしていたし、エルミーニオのラファエーレ・ぺ、コルネーリアという熟女役の山内政幸、フラミーニオの小堀勇介がいずれも素晴らしく、男性役が揃って水準が高い上演というのも稀であり、コルネーリアとフラミーニオのコミカルな掛け合いは楽しい限りであった。女性歌手陣は、リッカルド(ドン・ジョヴァンニ的女たらし)を迫田美帆、レオノーラを米谷朋子、どラリーチェを伊藤晴が歌い、熱演であったが、とりわけ迫田のリッカルドが充実した歌唱を聞かせていた。

アレッサンドロ・スカルラッティがナポリ楽派の創始者の一人だということはなんとなく知っていたが、これまでそれを実感する機会がなかったのだが、今回、中身の充実した曲を優れた演奏で見聞し、すっかり彼に対する認識をあらためた。

 

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