ブッツァーティ『怪物』
ブッツァーティ著、長野徹訳『怪物』(東宣出版)を読んだ。
短編集で18の短編が収められている。原著では1942年から1966年にわたる複数の短編集から訳者が編んだもの。訳者が編んだブッツァーティ短編集としては3冊目である。
ブッツァーティは、日刊紙コッリエーレ・デッラ・セーラの記者を勤めており、それが彼の文体とも深い関係を持つと言われている。すなわち、不条理な状況を描き出す時にも、日常的な平易な語彙を用いて淡々とその異常な事態を描出していくのである。時折、挟まれる情景描写はスケッチ風でありながらシャープな叙情性を持つ。また、比喩表現を重ねていく際も、一見かけ離れたものに喩えながら透明な詩情が生まれている。
1篇の長さは10ページちょっとだから、本格的な展開は望むべくもないのだが、ブッツァーティ独特の不条理なストーリーを堪能することができる。短いのでどこででも、いつでも、ちょっとした時間の隙間に別世界に飛べる醍醐味がある。
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