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2019年11月30日 (土)

チェスティ《ラ・ドーリ》その2

チェスティのオペラ《ラ・ドーリ》 についてやや詳しく書くと前回述べてからえらく日が経ってしまった。生来怠け者ということもあるし、妙に雑事が集中して、疲弊していたという面もある。ご寛恕を乞う次第。

さて、《ラ・ドーリ》のあらすじ。オペラには時々、第一幕が始まる前にこういうことがあった、というプレヒストリーのあるものがあるが、このオペラもそうだ。ニケーアの王女ドーリとペルシアの王子オロンテは親同士が決めて将来結婚することになっていた。二カ国間の友好関係を確かなものにするためである。ところが、ドーリは子供の時に、海賊にさらわれて行方不明となる。結婚の約束を変更しようということになって、ドーリの妹アルシノエがオロンテと結婚することになる。結婚の前にオロンテは、エジプトに派遣されるが、オロンテはエジプトの王女ドーリに恋してしまう。

 ドーリが二人出てきてもうややこしいのだが少しの辛抱を。エジプト王テルモドンテは、ドーリが生まれるとその養育を部下のアルセーテに委ねた。しかし不注意からドーリ(エジプトの)は死んでしまう。

 アルセーテは罰せられるのを恐れエジプトを逃れ海賊の一味となる。海賊たちがニケーアの海岸を略奪していると、ドーリという名前の少女に出会う。その少女は亡くなったエジプトのドーリと同じくらいの年齢だった。そこでアルセーテは(ニケーアの)ドーリをエジプトに連れ帰った。彼の妻がニケーアのドーリを育て、成長して王の元へと連れて行った。王は、彼女を自分の子だと思っている。

 このドーリとオロンテが出会って恋に落ちるのだが、オロンテは父王に呼び戻されペルシアに戻る。戻ってみると王はすでに死んでいる。王によって摂政役を仰せつかったアルタクセルセは、オロンテに、ニケーアの王女アルシノエと結婚しなければならないと告げる。

 この間、ドーリは将軍エラスト(オロンテがドーリのためにエジプトに置いてきた)とともにエジプトから逃げるが、ドーリは男装している。逃げる途中2人は海賊に捕まり、逃げようとして海に飛び込むが離れ離れになってしまう(なんと複数の要素がシェイクスピアの「十二夜」に似ていることでしょう。シェイクスピアはイタリアの様々な物語をタネ本にしていることがよくあるので、もしかすると、このオペラとシェイクスピア作品は遠い親戚のような関係にあるのかもしれない)。

 岸にたどり着いたエラストはドーリは死んだものと思い込む。彼はオロンテの元に戻り、ドーリは死んだと報告する。アルタクセルセにアルシノエと結婚しなければいけないと言われるが、オロンテは、死んでもドーリを思い続けると宣言する。アルシノエと結婚しないと王位を失う、と脅されてもひるまない。

 実際には生き延びたドーリは、盗賊に捕らえられ、男装したままニケーアで奴隷として売られる。あることからドーリは死刑を宣告されるが、アルシノエが「彼」を救い、アリという名で自分の召使いにする。

 アルシノエはアリ(実はドーリ)に、自分のオロンテに対する報われぬ愛を語る。

 アルシノエは予定されていた結婚のためアリを連れてバビロンに赴く。ドーリ(アリ)は、オロンテの彼女に対する変わらぬ愛を知り、自分の本当の姿を明かして彼と暮らせるようにしようか、あるいはまた、アルシノエは命の恩人であるから、自分の正体を隠し、アルシノエとオロンテが結婚するのを認めようか、迷う。

 その間、エジプトの王子トロメオ(ドーリの兄ということになる)はドーリがペルシアにいると思って探しに来る。トロメオはここでアルシノエに恋してしまう。彼女のそばにいるために、彼は女装して、自らをチェリンダと名乗り、アルシノエの召使となる。

 ドーリとトロメイがエジプトを去ってから、王テルモドンテは、ドーリの教師アルセーテに行方を探させる。

 ここで第一幕が開く。

 

 

 

 

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