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2019年11月30日 (土)

チェスティ《ラ・ドーリ》その3

前回の項目でチェスティのオペラ《ラ・ドーリ》のプレヒストリー、即ち、幕が開くまでの前史・事情を書いた。これが複雑で長い。

第一幕のあらすじ

ドーリは、アルシノエ(今お仕えしている女主人)への忠誠心と、オロンテへの愛の間で揺れ動き、身投げして死のうと決意する。彼女の家庭教師だったアルセーテが説得してやめさせる。ここでコミカルな場面が入る。オロンテの乳母ディルチェ(テノール)はゴロ(バス)を口説いている。このオペラでは、劇の内部でメタシアター的に女性が男装したり、男性が女装したりするのだが、それとは別に男性歌手が女性を演じたりして、ジェンダーの越境が頻繁に起こる。文字でずらずら書いていくとややこしいようだが、実際に見るとそこに演じる演者(歌手)が肉体を伴って現前しているのでそれぞれの二重性は一瞬で看守できる。むしろ登場人物が多いオペラを初めて見ると、この人は誰だったっけ、あるいはこの二人の関係性はといったことをフォローするのが一苦労である。

ゴロは王の道化だ。オロンテはディルチェに、ドーリへの愛を伝えてくれと頼む。ドーリは男のフリをしておりアルセーテにエジプトからの逃亡、バビロンへやって来たこと、そこでオロンテの忠実な愛、アルシノエの嘆きを知ったことを話す。

ディルチェはアルシノエに、オロンテは彼女と結婚する気はないと告げる。アルシノエはオロンテが彼女と結婚してくれたら何をしても良いと言う。エジプトの王子トロメオ(ソプラノ)は、彼女の不幸な愛に同情し、「チェリンダ」という女性に化けておそばにつかえる。アルシノエはチェリンダには恋人がいるのかと好奇心を持つ。

こんな具合にとても登場人物が多く、しかもその人物が異性に身をやつす。その異性に扮したことに気がつかず恋してしまう人が出てくる。

性の対称性、入れ替わり、惹かれあい、と戯れるストーリーだ。

 

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