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2019年8月29日 (木)

《ニュルンベルクのマイスタージンガー》

《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を観た。(バイロイト)

指揮はフィリップ・ジョルダン。クラウス・フローリアン・フォークトがヴァルター。彼はほぼ50歳だが驚異的に滑らかで大音量の高音が出る。表情・演技もある。良い意味での怪物だ。

この日はベックメッサー役が病気のため、マルティン・ガントナーが代役を勤めた。

この長大な曲はやはり、前奏曲にエッセンスが詰まっていて、その様々な主題が分散して、展開して、繰り返されていく。その前奏曲および枝分かれ部分がもっとも重要な部分であり、飽くことなく繰り返されていくわけだが、時たま、ヴァルターがアリア風の歌を歌ったりもする。

演出はバリー・コスキーで、ベックメッサーのユダヤ性を強調していて、彼がやっつけられる場面でまるで殺されたかのような動きがあった後、天井から巨大なベックメッサーの風船ハリボテが降りてきて、頭にははっきりとユダヤの印(ダヴィデの星)の帽子をかぶっていた。原作のリブレットでは明示されておらず、論争の種にもなるベックメッサーのユダヤ性が強調され、彼を排除することでかえって彼の亡霊に支配あるいは取り憑かれている感じを出していたのかもしれない。儀式で祈るような場面でもベックメッサーだけが祈りのポーズをとらず、周りから強要されて渋々応じる様も演じられていた。

第三幕では舞台が第二次大戦後のニュルンベルク裁判と重ね合わせられていたのもベックメッサーの呪いの表れの1つと言えるだろう。しかし、登場人物の衣装は中世風で壮麗であった。

休憩2回それぞれ1時間なので、4時始まりで10時半過ぎまで。体力勝負である。

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