エネスコのオペラ《オイディプス》
エネスコ作曲のオペラ《オイディプス》を観た(ザルツブルク、フェルゼンライトシューレ劇場)。
原作はソフォクレスの『オイディプス王』と『コロノスのオイディプス王』でリブレットはユダヤ系フランス人のエドモント・フレーク。オイディプスが生まれてから死ぬまでを描いた作品である。
指揮はインゴ・メッツマッハー。演出はアーヒム・フライヤー。現代オペラで特に思うのだが、原作がギリシア神話やギリシア悲劇で人々に知られたものであると、演出は大胆になれるし、大胆なデフォルメを施しても、聴衆・観衆はドラマの進展について行きやすい。
今回の演出では、登場人物が着ぐるみに近かったり、巨大な人形もどきの中に入って歌っていたりしたし、歌手の位置も、劇場の特性を活かして、後ろの壁(岩壁が窓のようにくりぬかれている)そのくり抜かれた部分にいて(ということは他の登場人物よりずっと高い場所から)歌ったりした。このポジションは予言などの場合にはぴったりした感じになる。
ストーリー的には皆知っているわけだが、やはりオイディプスの話は強烈な要素に充ちているし、音楽もそれに照応するように炸裂する音響がなんども鳴り渡るのだった。
合唱が単なるナレーションという以上に役割を果たしていた。
主要登場人物は演技も歌も大変なエネルギーを要したと思う。
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