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2018年8月20日 (月)

《Rossinimania Cabaret Rossini》

《Rossinimania Cabaret Rossini》という一風変わったコンサートを観た(ペドロッティ講堂、ペーザロ)。

プログラムにも最初に監督(演出)フィリッポ・クリヴェッリ、ドラマ構成エミリオ・サーラと書いてあり、一体どういうものなのだろうと思って行ったのだが、主としてオペラ作曲引退後パリ生活のロッシーニの人生をナレーションで語ったり、Peches de vieiless (Peches はアクサンがつきます)というピアノ曲集、歌曲の中からいくつか紹介し、さらに歌い手の中には、ボニタティブスやムケドリシュヴィリのようなオペラ歌手に混じって、マッシモ・ラニエーリという俳優が混じっているのだがキャバレたる所以なのだろう。
曲目もロッシーニの作のみでなく、ロッシーニに捧げられた曲や、例の猫の掛け合いの曲、雑多な感じをわざと作っているのだと思う。
ピアノはアントニオ・バッリスタで彼の弾き語りが、個人的には 一番興味深かった。
全体から浮かび上がるのは、ナレーションでロッシーニや妻の書簡が引用されていたのだが、ロッシーニは10年以上にわたる鬱、抑うつ状態に苦しんでおり、その抑うつ状態の底から浮かび上がるため(その過程で)これらの自己アイロニーに満ちた楽曲を作曲したということだ。ロマン派全盛の時代にあって、全く感情に埋没せず、自分及び人生を突き放して、音階練習のような乾いた明快な響きの連続。
独自の世界である。

解説のナレーションの際や演奏の際に、舞台の壁にヴィデオ(内容は例えばロッシーニの書簡だったりする)が投影される。

これからのコンサートの形態の模索の1つなのかと思う。

なお、このコンサートは街の広場にスキリーンを設営してライブで実況中継された。

 

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