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2018年8月26日 (日)

ヘンツェ「トリスタン」他

ヘンツェの「トリスタン」という管弦楽曲を聴いた(ザルツブルク大劇場)。 ヴィーンフィルの演奏会で、前半がヘンツェの「トリスタン」、後半はヴァーグナーの《神々の黄昏》の抜粋。指輪4部作の最終篇が《神々の黄昏》なわけだが、その中の管弦楽だけの部分で抜粋しており、歌手は登場しない。 前半、楽団員入場の前に、指揮者のヴェルザーメストがやってきてマイクを持ち、ドイツ語と英語を交互に駆使してヘンツェの曲の解説をした。

この曲が書かれた1970年代にヘンツェは、コレオグラファーのジョン・クランコや詩人のオーデンといった仕事上の仲間を失っている。その追悼、親密な語りかけがピアノに反映されているという。ピアノとオーケストラとテープ音楽からなる曲で6部からなるのだが、通常のピアノ協奏曲のように華やかではなく、むしろ、死者に想いを馳せつつ、時に感情が爆発するといった感じか。決して穏やか一方の音楽ではなく、特に打楽器は多彩に展開し、打楽器奏者によっては何度も楽器を持ちかえていた。
休憩をはさんで後半はヴァーグナーの《神々の黄昏》から管弦楽部分の抜粋。指揮者のヴェルザーメストは非常に熱い指揮ぶりであった。2年前にフィデリオの序曲でも感心したのだが、この人は一皮、二皮むけて自分のやりたい音楽を大胆に表現するようになったのではないか。オーケストラが一糸乱れず進むことよりも、場面によっては攻めの表現を取ることに躊躇しなくなったと言ってもいいだろう。終演後は徐々に拍手たかまりスタンディングオベーションに。この人の指揮ぶりもそうなのだが、最初からエクサイティングなのではなく、体の芯からじわじわと熱くなっていく感じなのだ。表情は優秀な官僚やビジネスマンのようにクールなのだが、熱いハートを抱えているというか。
普段、クリーブランドを振っていて、ヴィーンフィルの音、音響を奏でる喜びに満ちているように見えた。

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