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2018年8月28日 (火)

ペトレンコ指揮ベルリンフィル演奏会

キリル・ペトレンコ指揮ベルリンフィルの演奏会を聴いた(ザルツブルク祝祭大劇場)。

曲目は前半がポール・デュカスの「ラ・ペリ」というバレー音楽とユジャで・ワンを独奏者に迎えてプロコフィエフのピアノ協奏曲3番。後半はフランツ・シュミットの交響曲第4番。
デュカスの曲は彼晩年の曲。官能的なところを指揮ぶりでは出していたが、ベルリンフィルの表情はやや真面目な感じで、あくまで美しいのだが。。。
次のプロコフィエフでは、独奏者がユジャ・ワンという人のトレードマークらしいがミニスカートとピンヒールで出てきてものすごい速さでお辞儀をする。普通の人の倍速ではないだろうか。
で、バリバリ弾く。彼女のケレン味たっぷりで切れ味の良いピアニズムはプロコフィエフにぴったりだと思う。プロコフィエフの曲自体がケレン味の塊、スリリングにピアノを弾かせ、オケを鳴らすように書かれている。生で聞くとピチカートの多さに改めて気がつく。また、コントラバスの出番の多さにも気がつかされた。座席が左右の中央で前の方であったためピアノが運び込まれると指揮者がすっかり隠れてしまい指揮ぶりは見えなかった。
しかし曲がいたるところにスリリングでエキサイティングなフレーズを持っており、外見に照応した華やかなピアニズムを持った独奏者であるから弾き終わると嵐のような拍手。プロコフィエフの非ロマン主義的な叙情に心打たれた。ユジャ・ワンは小品をアンコールした。
後半は、フランツ・シュミットの交響曲4番。後期ロマン派の曲で、フランク的に同じような旋律がぐるぐると繰り返されたり、楽器間を受け渡されるうちに不思議なうねりが生まれたり、ある種の陶酔感も生まれてくる。最初こそ金管がソロで出てくるが、メインの部分は弦楽器の内声の充実したやり取りが中心。渋いがなかなか良い曲かもしれない。
ベルリンフィルの指揮者が何を演奏するかの曲目選びは難しいのだろうと思った。このオケだから何でも弾けるには違いないのだが、ペトレンコは常任になることが決まっているわけでこれからベルリンフィルをどういう方向にリードしていくのかが問われることになると思うからだ。
ペトレンコの指揮は柔軟性に富んでいる。曲のうねりを捉えるのが見事で、そこでもりもりとテンポを上げて、結節点でバーンと決める。曲の構造に沿っているから、アッチェレランドも決めも自然な流れにのっている。でなければ、シュミットの曲など、かなり退屈な演奏をすることも十分可能な曲だと見た。音楽、曲に内在する喜び、ダンス的な活力を見出して、形にするのがとても上手なのである。
これからベルリンフィルがどう変容していくのか楽しみだ。

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