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2018年6月 3日 (日)

《Emma 彼女の見た風景(仮題)》

ソルディーニ監督の《Emma 彼女の見た風景》を観た(イタリア映画祭2018,有楽町・朝日ホール)。

5年ほど前にやはりソルディーニ監督は盲人をテーマとした映画を撮っている。その時にはドキュメンタリー的要素が強かったと記憶しているが、今回は完全にストーリー化していて、演じているのもヴァレリア・ゴリーノやアドリアーノ・ジャンニーニらの俳優・女優である。
盲目の整体師エンマが広告マンのテオと出会う。テオには彼女や不倫相手がいるのだが、結婚も同居もせず、どっちつかずに生きている。エンマとの出会いが彼を徐々に変えていくというストーリーだ。
この映画では、ゴリーノの演技もあるし、カメラワークのせいもあるのだろうが、盲人のエンマの手の動き、身体の動きをわれわれはたどることになるのだが、それが新鮮な感覚をこちらに呼び覚ます。身の回りの世界を新たに感じ取るような心持ちになる。テオと出かける時もエンマは植物に触ったり匂いを嗅いだりすることが必然的なふるまいだ。それを見ているテオも次第にまわりの世界を外から傍観するのではなく、触って嗅いで関わっていくようになっていくのではないか、と思う。
エンマが指導している17,8歳の少女(目が見えないことを受け入れられないで、反抗的な態度を取っている)の描写も、エンマとのコントラストによって盲人を一面的に描いてしまうことから救っている。
身体的・物理的にはテオがエンマを手伝う・手助けするのだが、精神的・心理的にはエンマがテオの思春期以来のトラウマを癒やす触媒となる。現代の愛のむずかしさに対する一つの解がそっと提出されている映画である。

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