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2018年4月11日 (水)

フランコ・ファジョーリ『ヘンデル・アリア集』

カウンターテナーのフランコ・ファジョーリが歌う「ヘンデル・アリア集」というCDを聴いた。

オーケストラはイル・ポモドーロ(コンサート・マスターはゼフィラ・ヴァロヴァ)。CDの解説書で不思議なことが1点ある。イル・ポモドーロのメンバーは第一ヴァイオリンは誰と誰、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、オーボエ、ファゴットと書いてあるのに、チェンバロは書いてない。ゲスト出演なのかもしれないが、その名前が書かれていない。CDでは明らかにチェンバロの音はしている。
カールスルーエで聴いたファジョーリのコンサートでもオーケストラはイル・ポモドーロであったのだが、この時は女性のチェンバリスタが弾いていた。
このCDはカールスルーエに行く前に予習として数度聴いていたが、コンサートとは曲目が結構入れ変わっていた。そしてまたこのところ何度か聴いてみたので感想を書いてみる。
1つ思うのは、CDというのは媒体としては1980年代に出来たのだからもう30年以上経過して最近はハイレゾというものが出てきて規格としては古びたものとも感じられるようになってきた。いやハイレゾうんぬんと言う前にスーパーCDとかDVDオーディオが出てきて規格として
はCDより優れたものだったのだが、普及しなかった。今はまた、ブルーレイに音だけを入れるブルーレイオーディオがあるのだが、どうなることやら。どうなることやらというのは、ブルーレイを本格的なオーディオと接続する手立てが容易ではないのだ。テレビに接続するのはいとも簡単なのだが。。。
そう言いたかったのは、CDは規格は古いが、2000年以降の録音のものは音が良くなっている気がする。詳しいことはわからないが、録音現場および機材がCDの技術を完全に消化した結果、音がよくなっているのではないだろうか。
というわけで、ファジョーリとイル・ポモドーロという黄金のコンビを間近で何度でも繰り返し聞けるCDというのはありがたい。収められている曲目はオペラ名をあげると、《オレステ》、《セルセ》2曲、《リナルド》2曲、《イメネオ》、《忠実な羊飼い》、《ロデリンダ》2曲、《エジプトのジュリオ・チェーザレ(=ジュリアス・シーザー=カエサル)》、《アリオダンテ》2曲、《パルテノペ》で全14曲。静かなしみじみした曲あり、劇的に盛り上がる曲あり、緩急をうまく組み合わせてあって飽きさせない。ライブと比較すると、ライブにはムラがあって最初は身体があったまってなくて慎重に歌い出すが、だんだん身体にエンジンがかかってくるとテンポやリズムもノリノリになってくる。このCDはスタジオではなくて、イタリアのヴィッラ(別荘)で録音しているが、CDにする録音という意識があるから慎重でお行儀のよい演奏となる。ライブとの違いはそこである。ライブは一回切りということで、失敗をおそれずノリで突っ込んでいくところがあってワクワク感は大きい。CDは繰り返し聴かれることが前提で破綻のない演奏をしようという意識が強まる傾向がある。これはファジョーリやイル・ポモドーロにかぎらず一般的にそうである。だから、ファジョーリが各地でやっているコンサートのライブ録画・録音が出ることを切望する次第である。オペラでもそうだが、ライブにはライブの良さがあり、録音セッションには録音セッションのよさがあるのだと思う。
ファジョーリの声はマイクがオンなのか、息づかいや声のこまかな震えまでものすごく細かくわかる。楽器間のバランスも、ライブでは会場によって限定されてしまうが、録音では細心の注意を払ってバランスが取られているだろう。ヘンデルのアリアは全曲の中で聴くのが一番だとは思うが、こうしたアリア集にも独特の魅力があるものだ。

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