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2017年11月12日 (日)

オペラ 《業平》

オペラ 《業平》を観た(西国分寺、いずみホール)。

作曲、門田展弥(敬称略、以下同様)、リブレット(詞章、台本)、笠谷和比古。登場人物は3人。在原業平、その恋人高子(たかいこ)、旅の僧である。舞台は装置はなく、その変わり衣装は和装であった。衣装は今井友子。演出、風吹和男、監修、山本登朗。
このオペラの台本は、能の『小塩』に基づいているとパンフレットにもある。出だしの旅の僧のセリフは、
「これは東の国より出でたる僧にて候。。。」という調子で、確かにお能の口調、古文調なのである。格調が高いのだが、ややとっつきにくい。ということに対する配慮が何重にもなされていた。
まず、上演前に、監修者の山本氏から配布資料付きで、伊勢物語の中の業平と高子の恋愛および逃避行、しかし高子は連れ戻され、業平は東下りをする羽目になる。さらに業平はのちに(伝説によれば)大原野の十輪寺に住み、高子を偲んで塩を焼いて過ごした、とのことであった。こういった伊勢物語および能「小塩」の説明があった上で上演が始まる。
さらに、上演に際しても時々解説的ナレーションがあった。また、舞台奥にスクリーンがあって山里の寺や塩釜が映ったりする。
こういう周到な配慮の上で、古文のレチタティーヴォ、アリア(和歌がアリアになったりする)が歌われる。作曲者も言葉が聞き取りやすくなることを配慮し、山田耕筰と同様に、1音節(モーラ)に一音をあてるのを原則としている。その結果、バリトンの僧(田中祟由希)、テノールの業平(林寿宣)、メゾソプラノの高子(安本佳苗)の順に聞き取りやすかった。女性の高音はなかなか子音が聞き取りにくいことがある。
音楽は20世紀の前衛風ではないことを作曲者が明言しておられ、だから不協和音は頻出しない。リズムも素直な拍子が多く、少し前の日本映画の映画音楽を思わせる曲想もあった。
全体として大変興味深い、味わいのある作品だった。
古文のままという野心的なリブレットも、何重かの丁寧な解説により、観客を置き去りにした感じは全くなかった。
演奏はバイオリン2、ビオラ1、チェロ1、フルート1、ハープ1の6人で作曲者自らの指揮。ことさら前衛ぶらない作風が、古文の詞章とマッチしていたと思う。

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