バイロイト祝祭歌劇場の庭
バイロイト祝祭歌劇場の前にはかなり広い庭が広がっている。
その一角には、首から上の晒し首になったようなヴァーグナー像もある。その周りに、顔写真入りで、様々な人の石碑があったので休憩時間に見てみた。
最初は、ヴァーグナーやバイロイトにゆかりのある名歌手、名指揮者かと思ったのだが、名前に全く聞き覚えのない人が多い。碑文を読んで驚いた。これらの人はフルート奏者や合唱団の人もいるのだが、バイロイトに出演した後、ナチスにより強制収容所に送られそこで亡くなった人たちだったのだ。
さらに、ナチス政権に批判的だったため職を剥奪され、スイスやアメリカに亡命した指揮者などもいる。
石碑の数はかなりあったので、すべてを確認したわけではないが、僕が見た限りでは、どれもナチスにより生命を奪われた人か亡命を余儀なくされた人だった。だから合唱団で1920年代に2回バイロイトで歌って、その後、強制収容所で死んだという人は他のことは全く知られておらず、演奏家として著名というわけではない。
ナチスがヴァーグナーの音楽を利用したことはよく知られており、しかしながら、音楽祭は音楽祭として続けていくというために、こうしたモニュメントが必要だったのかもしれないし、我々はそのことを記憶にとどめておく必要があるのだろうと思う。
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