ブッツァーティ 『絵物語』
ディーノ・ブッツァーティ著、長野徹訳・解説『絵物語』を読んだ(東宣出版、4000円)。
タイトルから推測されるように画集である。ブッツァーティは、小説家として名高いし、これまで『タタール人の砂漠』や『七人の使者』などが訳されている。
しかし、ブッツァーティ自身は、自分にとって画業が本業であり、文章を書くことは趣味だったと言っている。
ブッツァーティの絵は、デ・キリコやジャコメッティやバルテュスなどなどを想起されるものでありつつ、独特の味わいがある。渡米後はアメリカのポップな絵の影響を受けるのだが、画風は変わっても味わいは独特である。彼は絵で物語を語ろうとしており、皮肉やエロスに充ちたミクロな物語が絵によって語られるのである。印刷も上質で、繰り返し楽しめそうな本だ。
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