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2015年10月 2日 (金)

《イタリアの大詩人によるリーリカの夕べ》

《イタリアの大詩人によるリーリカの夕べ》を聴いた(東京文化会館小ホール)。

これはオペラではなく、イタリア歌曲を複数の歌手が歌うコンサートである。歌詞のほうは、ダンテ、ボッカッチョ、ペトラルカ、レオパルディなど、イタリア文学史の大物中の大物がならんでいる。
作曲家のほうは、最初に歌われたドニゼッティは別として、ほとんどの作曲家が1880年代生まれで、20世紀前半に作られた曲が多い。その間にくるのがトスティという具合であった。
イタリア歌曲をまとめて聞く機会は、トスティ以外ではまれで、大変貴重な機会であったし、プログラムには丁寧に詩(歌詞)が日本語訳されて対訳で掲載されていた。僕としては、ないものねだりかもしれないが、せっかく翻訳をしたのだから、歌手が歌っているときに字幕として出していただければ、より聞き手の理解を深められたかと思う。
当然のことではあるが、ダンテは言うまでもなく、その他の詩人の詩も、耳から聴いてすぐに判るというのはむずかしい。オペラのように登場人物間の会話、対話であればまだ聴いてわかるフレーズも多くなってくるが、詩は語彙の点でも、言い回しの凝り方、センテンスの長さといった点でも難易度が高い。
これからの時代、劇場としても、簡単に使える字幕システムは備えつけて欲しいものだと思った。無論、器楽曲などのリサイタル、コンサートなどで必要なければ使用しなければいいだけの話である。
熱演、熱唱が多かっただけに、余計にそう思った次第である。前半は歌手やピアニストを観ていて、後半はプログラムを主として見ながら聴いていたのだが、プログラムを見ていると歌手の身振りや表情が見えないのがやはり残念なのである。
企画としては素晴らしいものだし、またこのような機会があることを願っている。

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