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2015年10月 2日 (金)

《修道女アンジェリカ》

マダマ・バタフライ、修道女アンジェリカ

プッチーニのオペラ《修道女アンジェリカ》を観た(東京・九段、イタリア文化会館)。
《修道女アンジェリカ》はプッチーニの3部作(他の2作は《ジャンニ・スキッキ》と《外套》)で1918年にアメリカのメトロポリタン歌劇場で上演されたが、あまり好評でなかった。
イタリアやイギリスでも熱狂をもって迎えられることはなく、《ラ・ボエーム》や《トスカ》のように劇場のレパートリーとなることはなかった。そのため、現在も上演頻度は決して高くなく、今回の上演は僕にとっては得難い経験だった。
音楽的には、1910年代のプッチーニは現代的な響きを模索しているように思える。以前ほど明快なアリア的メロディーがなくなり、レチタティーヴォとの区分が曖昧になってくる。例外はアンジェリカが亡き息子を思って歌う歌で、一番の聴きどころである。
《修道女アンジェリカ》は、修道院が舞台であり、そこにアンジェリカの叔母(世俗の人)が訪ねてくるだけで、要するに登場人物は全員女性である。演出によって、アンジェリカの死んだ息子や聖母マリアが登場することもあるが、歌うパートはない。そういう意味では劇場のエンターテイメント性という点からはプッチーニの他作品と比較した場合、地味と言えるかもしれない。
当日の演奏は通常のオーケストラではなく、ピアノと数人であったが、さほど気にならなかった。ホールが歌劇場としては小さめなこととあいまって歌手の声がよく聞こえるメリットもあった。最後の場面で修道女たちが観客たちの通路を通って舞台に向かうのは効果的であったし、アンジェリカ役の内田智子(敬称略、以下同様)は声の表情が豊で注目に値すると思った。演出は井田邦明。

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