アルファーノ《復活》
アルファーノと言えば、プッチーニの遺作《トゥーランドット》の補筆で有名だが、プッチーニの弟子というわけではなく、年下の友人・知己ということになる。
プログラムに書かれているように、アルファーノはナポリ近郊で生まれ、ナポリそしてライプツィッヒで音楽の勉強をする。ライプツィッヒではリストの弟子に教えを受けている。
《復活》の原作は、トルストイによるもので、原作は1899年発表。この時代は
サイレント映画の時代であるが、復活はいろいろな国で映画化され日本でもなんども映画化されているし、お芝居としても演じられ松井須磨子がカチューシャを演じて大ヒットした。ヘアバンドのことをカチューシャというのは日本だけらしい。つまりお芝居が大ヒットしたので、便乗商品がいっぱい出て、そのうち、ヘアバンドは一時的なものでなく定着したわけだ。
アルファーノは1902年にパリでお芝居として観たらしい。そこへローマでカミッロ・アントーナ・トラヴェルシがイタリア語で演劇化したとの知らせを聞き、チェーザレ・アノー(アナウかもしれない)がリブレットを書いてオペラ化がなされた。
4幕仕立てとなっている。芝居は、判りやすいように、時間軸にそった展開となっている。1幕はディミトリ(貴族)とカチューシャ(ディミトリの叔母の召使)の出会い。2幕はディミトリの子を宿したカチューチャが勤め先を追放され、駅でディミトリと会おうとするが、むなしく終わるところ。3幕は、子を亡くし、娼婦になったカチューチャがあやまった裁判でシベリア送りになりかけているところ。4幕はシベリアへ向かう道すがらで、カチューシャは政治犯シモンソンと出会い精神的には立ち直っている。そこへディミトリが救いにくる。2人は愛を確かめ合ったあと、しかしながら、別々の道を歩むことにする。
ストーリー上も、3幕、4幕がもりあがる。僕が観たのは日曜日で、ディミトリは古橋郷平(以下、敬称略)。彼の舞台は数度見ているが、今回が一番良かった。この人は背が高く舞台栄えがするのだが、今回、歌唱にも力があった。声の状態も良かったと思う。カチューシャの垣岡敦子も熱演。非常に幅広い音声の表情を駆使して、純情なカチューシャから自暴自棄のカチューシャまでを説得力をもって演じ分けていた。
アルファーノの曲作りは、プッチーニを想起されるところもあるが、独特のところもある。場面が緊迫したときの小刻みなリズムはなかなか聞き応えがあった。
全体として、この時代のオペラに対するわれわれの理解を1歩も2歩も進めてくれる大変有意義なもので、なおかつストーリは〟金色夜叉を思わせるところもあったりして明治日本でも受けたことに妙に納得がいった。いろいろな味わい方ができる作品だと思った。
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