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2015年5月11日 (月)

《椿姫》

traviata_chirashi.jpg新国立劇場で《椿姫》を観た(東京・初台)。


主人公ヴィオレッタ役のベルナルダ・ボブロは、軽い声で、ビブラートをかけず透明に響く。従来の演奏であれば絶叫調のところでも、サラサラっと歌っていくので、最初は肩すかしを食った気もしたが、こういう演奏もいいと思う。

つまり、近年、ベッリーニやドニゼッティの演奏で生じているように、過度にロマンティックにやらない、むしろ様式性を浮かび上がらせる演奏スタイルである。

イヴ・アベルの指揮は、特に第一幕ではスピードを重視した演奏で、こんなにテンポの早いパーティ場面の演奏は珍しいが、その軽快さ(オケはしっかり厚みがあるのだが)とボブロの声質はあっている。

ヴェルディの《椿姫》という作品自体が、彼の《リゴレット》や《イル・トロヴァトーレ》と並んでイタリアオペラの新局面を切り開いた面と、いわゆるベルカントオペラの最終局面(たとえば第一幕のヴィオレッタの華やかなフィオリトゥーラ(装飾音))という2面性があり、従来の演奏はロマン主義的な濃密な感情表現に重きを置いているものが多かった。

しかし、ベルカント的な要素を積極的に出す演奏も十分に存在意義があると思う。むしろ彼女の問題点はイタリア語の発音が不鮮明になるところがままあることだろう。

ただ、アルフレード(アントニオ・ポーリ)やジェルモン(アルフレード・ダザ)の演奏スタイルが、ロマン主義的演奏スタイルからベルカント的なスタイルにシフトしているとは言えず、おのおのが自分の声質にあわせて歌っているという感じであった。

合唱団もあのテンポについていって、立派に歌っているのは見事。あのテンポだとだれるところがなくて聴いている者としては、具合がよい。

演出は、装置は簡素で服装はオーソドックス。違和感なく、モダンな舞台であった。

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