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2014年8月10日 (日)

《カルメン》

ビゼー作曲のオペラ《カルメン》を観た(アレーナ・ディ・ヴェローナ)。

アレーナのオペラでは《アイーダ》が名高いが、《カルメン》もそれに迫る勢いで大勢のエキストラ(町の人々、ジプシーの踊り子たち、官憲などなど)が登場する。
舞台には実際の馬やロバも複数登場するし、子どもたちの合唱も出て来る。
カルメンはエカテリーナ・セメンチュクだが、歌唱は悪くないのだが、もう少しお色気があってもよかったかと思った。ドン・ホセがミカエラという純情な婚約者をすてて、カルメンに走る必然性が歌と演技で納得できることがこのオペラの肝心な部分だと考えるからだ。
ミカエラはロシオ・イグナシオ。純情娘を熱唱。ドンホセはマリオ・マラニーニ。エスカミリオは Dalibor Jenis.
指揮はヘンリク・ナナシ。若手できびきびしていたが、《カルメン》でその力量をうんぬんするのはむつかしい。《カルメン》という曲は、耳あたりのよいおなじみのメロディーが次々に出て来るのだが、そのメロディー間の有機的連関とか、そのメロディ同士の関係というのが見えにくく、オペラ全体を指揮者がどう捉えているかと行いったことよりも場面、場面がストーリにそって展開していくことに身をまかせていればよい音楽であるからだ。
誰が見ても、聞いても楽しめるオペラであり、実はビゼーがそれまでの慣習をやぶって冒険しているということが見えにくくなっているのだが、そんなやかましいことを言うのも野暮なオペラかもしれない。

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