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2014年8月21日 (木)

エヴァ・ポドレス、リサイタル

エヴァ・ポドレスのリサイタルを聞いた(ペーザロ、ロッシーニ劇場)。

彼女はアルトのベテラン歌手で2年前のROFで《バビロニアのチーロ》のタイトルロールで絶賛をはくした。この日はロッシーニ劇場で、Filarmonica Gioachino Rossini というオーケストラの伴奏。
ROF で最も中心的なオーケストラはボローニャ歌劇場の管弦楽団で、今回も《アルミーダ》と《セビリアの理髪師》を担当している。その他に Orchestra Sinfonica  G. Rossini というオケがあって、こちらも2001年から主としてオペラ・ブッファの伴奏を担当しているが、今年は《パルミーラのアウレリアーノ》を担当している。Orchestra Sinfonica G. Rossini はペーザロおよびウルビノ県のオーケストラである。
そこへ新たに Filarmonica Gioachino Rossini というオケが2013年に出来たというわけだ。今回はこのリサイタルと、《ランスへの旅》を担当している。
Orchestra Sinfonica G.Rossini から Filarmonica Gioachino Rossini が分裂したのだという噂も耳にしたが、情報源は確認していないので、あくまでご参考までに記しておく。
さて、ポドレスであるが、《チーロ・イン・バビロニア》の時にも痛切にかんじたが、この人の声は音域がアルトというに留まらず、独特の迫力、存在感がある。何オクターブでるのかという音域の広さがあるのだが、そこを歌う音色も変幻自在で、普通に歌っているかと思うと裏声になったり、地声になったり、くるくる変わるのだが、それが不思議なことにちぐはぐではない。朗々と歌うのと、パルランテ、レチタテイーヴォ風の表現も一瞬で入れ替わる。はい、ここからはレチタティーヴォといった切り替えでは決してない。融通無礙(むげ)に音色、表現法が変わるが、全体としての歌のフォームが崩れない。あんなにいろんなことが切り替わったら、もたもたしてテンポが遅くなってしまうかというと、そういったこともない。
 《チーロ》からの歌やポロコフィエフのオペラ《アレクサンダー・ネフスキー》のカンタータもそうであったが、悲しみの表出になると音色、子音のアタックなどが見事でこちらもその悲しみにひきこまれるのだが、ポルタメントやテンポ・ルバートを過剰にもちいてこちらをうんざりさせることは決してない。表情は深く、しかし歌の形は崩れない。
 会場は特にグルックの《オルフェとエウリディス》の「私はエウリディスを失ってしまった」やロッシーニの《チーロ》の「不幸なチーロ」では万雷の拍手喝采だった。
 今回のROFで最高の歌手だったという(喜んでいいのか、悲しむべきなのか)声も聞かれた。
 ポドレスは1950年代前半の生まれで、若いとは言えないし、失礼ながら輝かしい美貌の持ち主、いわゆるDVD受けする容姿とは言えない気がする。しかし今回のROFでこれほどブラーバの声が飛んだ歌手がいるだろうか。ROFの観客は、声の表現に対して厳しいし、逆にその表現が卓越していれば、惜しみない拍手を送るのである。

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