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2014年7月10日 (木)

《ホフマン物語》

オッフェンバック作曲のオペラ《ホフマン物語》を観た(渋谷オーチャードホール)。

大野和士指揮のリヨン歌劇場の引っ越し公演である。
いくつかのDVDを観ていったのだが、このオペラでおそらく最も重要なことの1つは、オッフェンバックが未完成のままに死んでしまったために、このオペラには決定版がなく、プロダクションによってかなり中身が違うということだ。
ストーリーは呑んだくれの詩人ホフマンが出てきて、過去の3人の女性との恋愛を語るという枠組みである。そもそもプロダクションによって3人の出てくる順番が異なる。人形のオランピアのあとに歌手アントニア、娼婦ジュリエッタが出てくるのだが、アントニアとジュリエッタの順番が逆の場合もある。
今回はアリアでない部分の台詞がレチタティーヴォでなくまったく普通の台詞の部分が多かったが、上演によってはレチタティーヴォになっているのもある。
人形のオランピアはただの人形ではなくオートマトン(自動人形)なのでつまりロボットなのであるが、昔とちがって、この人形が人のように動いたりそれが人間の男をとりこにしたりするというのはもうそこまで来ているという感じがする。
今回のプロダクションではこの3人はすべてチョーフィが歌っているが、プロダクションによっては別々の3人の歌手が歌い演じることもある。
なんといってもアントニアをどう演じさせるか、また歌手がどう演じるかが最大の見どころに思える。チョーフィの場合は、高音を発するところでは空中高く浮かび上がり、音が下がると床にもどってくるという演出だった。またセグウェイとおぼしきものにのってなめらかに地上を移動する。
音楽的にも、演出の面白さという点でも、このオペラはミュージカルに近いのだということを認識した。
この日の演出は、モダンで、色がグレーに近いというか薄い色で、ヴェネツィアといっても派手な色は皆無なのだった。ゴージャスではなくて、知的な演出であり、そこが好みの別れるところであろう。
リヨンのオケは、ときたま合唱とずれかかっていたものの、全体としては非常に柔らかで美しい音を奏でており、夢の世界へいざなってくれた。酔っ払い詩人になったつもりで、観客も過去の恋を思い出して甘酸っぱい思いにひたるのがこのオペラの楽しみかたなのだろうと想像した。

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