《存在しない南》
ファビオ・モッロ監督の《存在しない南》を観た(イタリア映画祭、有楽町・朝日ホール)。
カラーブリア出身の監督(来日して上演の前後に舞台挨拶および質疑応答をした)が、同じくカラーブリア出身の女性を主演女優として使い、カラーブリアを舞台にして撮った映画である。
監督が自ら語ったようにこの地域にはンドランゲタという犯罪組織が日常生活にいたるまで根を張っている。人々は沈黙の掟に縛られ、組織に家族を殺られても、それを語ることさえ許されない。
その現実に歯向かおうとする少女グラツィアの物語である。この少女は中性的な感じが独特で、イタリア人とスウェーデン人のハーフのせいか、独特の顔立ちで典型的な南部の顔立ちではないところに意味があるのだろう。つまり、彼女はカラーブリアの掟から一歩はみでていく存在であるからだ。
台詞が比較的少ない映画だ。
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