マフィアは夏にしか殺らない
フィリッポ・ディリベルト監督の《マフィアは夏にしか殺らない》を観た(イタリア映画祭2014、有楽町・朝日ホール)。
イタリア映画祭が開幕した。
《マフィアは夏にしか殺らない》は、シチリアのアルトゥーロ少年(後半青年となる)の物語だ。彼の生涯には偶然、マフィアの活動がかかわりをもつ。
ここではマフィアの活動はコミカルに戯画化されて描かれている。1970年代なので、まだマフィアという組織が公式にはその存在すら認められていない。アルトゥーロ少年は同級生のフローラに恋しているのだが、なかなか思うように進展しない。アルトゥーロのヒーローはなぜかジュリオ・アンドレオッティである。この点は非常に効果的なアイロニーをもたらしている。
青年になったアルトゥーロは、ふとした偶然でサルボ・リーマの秘書をつとめるフローラと再開する。サルボ・リーマはアンドレオッティと縁の深い政治家であるが、マフィアに殺されてしまう。この当たりから、マフィアの活動、暗躍は戯画化というよりは事実に則したものになる。ファルコーネ判事が護衛とともに爆殺されたことなどが映画の中にでてくる。
コミカルなタッチで始まったこの映画は、やがてコミカルとは言い切れない映画となって終わる。それゆえジャンル分けはしにくいが、にもかかわらず、見終わったあとにそのことへの違和感はほとんど感じなかった。
La vita è bella でベニーニがとった戦略と相通ずるものを感じる。
| 固定リンク
コメント