展覧会WERDI VAGNER
veve
ヴェルディとワーグナーに関する展覧会を観た(ヴェローナ、Gran Guardia)
Gran Guardia はアレーナのあるブラ広場から道を一本渡ったところ。ヴェルディとワーグナーのVとWをわざと入れ替えてある。本来どちらもヴェやヴァの音なのであるが、ドイツではヴをWであらわすし、イタリアではVで表す。それを二人を比較する展覧会なのでスペルを入れ替えているのである。
入り口のところで、コインのようなものを渡される。表と裏にヴェルディとワーグナーの肖像画が描かれている。それを最後のところで、どちらの作曲家がいいか投票(投コイン)する。投票すると、画面が変わり、現在の投票分布が出る。ちなみに、8月2日時点では4分の3近くがヴェルディだった。おそらくこの比率は、イタリアでこの催しが開催されていることが最大の原因であろう。
この展覧会はマルチメディアを積極的に駆使している。
建物の1階では1813年がどんな年であったかを映画で紹介している。1813年にヴェルディもワーグナーも、そしてヴェローナの音楽祭も誕生したのだが、他にどんなことがあったかが紹介されている。
2階に行くと、部屋ごとにテーマがあって、愛であるとかヒーローであるとか死であるとかのテーマについて2人の作曲家がどう取り組んだか、どう表現したかが彼らの言葉、あるいは同時代人(ボードレールなど)の言葉が紹介されている。
さらに映像資料で、さまざまな20世紀の演奏が紹介されている。面白かったのは、タンホイザーの序曲を、カラヤンやバレんボイムなど複数の指揮者の演奏で、まったくポーズをおかずにつないでいるフィルムだ。ヴェルディの運命の力の序曲もそれをやっている。アバド、カラヤン、チェリビダッケなどが切れ目なく次々に入れ替わって演奏するという現実にはありえないフィルムの編集でのみ可能な光景・演奏でこれは大変面白かった。ビデオなので、指揮者の表情もわかる。いかにも重々しそうに深刻ぶって振るカラヤン、辛口でインテンポで前へどんどん進むトスカニーニ、楽員の自発性を引き出している感じのアッバード。単に録音の新しい、古いだけでなく、音の表情が違うのがはっきり判る。
部屋によっては何人もの演奏家が観て聞けるようになっており、ヘッドフォンが置いてある。さっとみて1時間ほどかかる。学術的な本で得られる情報というよりは、画像や音響をその場で見聞きできるという特性を最大限に生かした展示であり、オペラあるいはオペラ作曲家という素材にふさわしい展示の仕方だと感じた。
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