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2013年3月 4日 (月)

オペラ《カルディヤック》

オペラ《カルディヤック》を観た(初台・新国立劇場)。

新国立劇場のオペラ研修所公演で、キャストの大半は、13期、14期、15期の研修生である。
《カルディヤック》の原作は、E.T.A.ホフマンの小説『スキュデリ嬢』でかなり入り組んだ語りの構造をもっているが、オペラの方は焦点を絞り単純かされている。
カルディヤックという天才的な金細工師の作品を買った人が次々に殺される。実は作者が殺して、作品を回収しているのである。登場する一組の恋人たち(林よう子と菅野敦)の場合も、女性がカルディヤックの作品をねだり、男が入手すると、案の定、仮面をつけた男があらわれ、男を殺し、作品(ベルト)を奪い返してしまう。
王にも作品を譲渡しないカルディヤックだったが、娘(今野沙知恵)の恋人(小堀勇介)はとうとう作品を入手する。しかしカルディヤック(近藤圭)は彼にも襲いかかる。その時は殺しそこない、目撃者がカルディヤックを告発する。しかし娘の恋人は、告発者こそ怪しいといい混乱が起こる。
カルディヤックは自分が犯人だと名乗りをあげ、怒った群衆に殺されてしまう。
作曲はヒンデミットでリブレットはフェルディナンド・リオン。ヒンデミットの音楽は1920年代らしく新即物主義的である。つまり、直接的な感情表現よりは、それが一度抽象化され、再構成されたような感じの音楽で、非常に刺激的で面白かった。
また、高橋直史の指揮、トウキョウ・モーツァルトプレヤーズの演奏は実に見事だった。指揮が完全に音楽の性格を把握し、オーケストラもそれに応えて雄弁に表情づけを行っており、聞いていて気持ちがよかった。
このオペラ、日本初演というのは、もったいないような充実した曲である。歌手もそれぞれに熱唱で、こういった隠れた名曲の上演に立ち会えたことをありがたく思うひとときであった。

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