« 《ピーター・グライムズ》 | トップページ | ポリーニ・パースペクティヴ第2夜 »

2012年10月28日 (日)

演奏会マンゾーニ&ベートーヴェン

ポリーニ・パースペクティヴの第一夜を聴いた。

マンゾーニの Il Rumore del Tempo と、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ。マンゾーニの曲が意外な収穫だった。
冒頭でソプラノとヴィオラが出て来るのだが息をのむ美しさ。ヴィオラのクリストフ・デジャルダンとチョー・ジョーの演奏能力が高く、リズムといい音の響かせかたといい繊細なのだ。
曲は、ピアノ(ニコラス・ホッジス)、ヴィオラ、クラリネット(アラン・ダミアン)、打楽器(ダニエル・チャンポリーニ)、ソプラノによって演奏されたが、上記の2人は傑出していたように思う。
現代音楽というと不協和音がけたたましく鳴り響いてというイメージをお持ちの方もいるかと思うが、マンゾーニの場合、声の扱いは歌手に無理をさせず素直に楽音を出させている。弦楽器に関しては古典的奏法をはみだして、打楽器的な奏法を駆使しているーそのことは現代音楽としては珍しくない。
声が出て来ると、歌手自身から発せられる音であるため断片化されない。弦楽器は歌うところもあるが、打楽器的奏法により音楽が断片化する。声が音楽における歌を保証していると感じた。
ポリーニのベートーヴェンは、彼が音楽の構造を伝えることを優先していることが明らかになる演奏だった。早めのテンポで、細かなフレーズの表情にはあまり拘泥せずに前へ前へと進んで行く。まれに曲想が変わる構造のつなぎ目の部分では丁寧に和音の響きの変化をたどる場面がある。ワルトシュタイン、22番、熱情とベートーヴェンは自分を繰り返さず、自分を模倣せず、新しい音楽を追求し続けていたことが実によくわかる演奏だった。昔の彼の演奏のように一音たりと弾き違えないという演奏ではないが、別の魅力、説得力を感じた。

|

« 《ピーター・グライムズ》 | トップページ | ポリーニ・パースペクティヴ第2夜 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144339/55990994

この記事へのトラックバック一覧です: 演奏会マンゾーニ&ベートーヴェン:

« 《ピーター・グライムズ》 | トップページ | ポリーニ・パースペクティヴ第2夜 »