« 《ランスへの旅》(ROF 2012) | トップページ | 指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ »

2012年8月21日 (火)

ジェシカ・プラット・リサイタル

Pratt_7
ソプラノ歌手ジェシカ・プラットのリサイタルを聴いた(ペーザロ・オーディトリウム・ペドロッティ)

ベルカントの夕べである。ロッシーニ、ベッリーニらの曲を聴いた。彼女は、きれいな声で、声量もあるし、堂々たる体躯の持ち主である。オーストラリア出身。

強いて無いものねだりをすると、ベルカントの様式感が時々くずれるというか、ベルカントとして決まりきれない部分があることだ。時にロマン派風に、あまりに叙情的な表現に陥ることもあるし、テンポやリズムがほんのコンマ何秒かずれている(遅い)と思うことがある。

そのコンマ数秒で様式感が崩れてしまうのだ。

彼女は、非常に幅広いレパートリーを持っているらしく、アンコールではドイツ語や英語の歌が飛び出していた。そして英語の歌(ミュージカル?)がノリが良かったのだが、ベルカントの夕べにこういう曲をアンコールに持って来るのはいかがなものかとも思った。アンコールの最後は、《椿姫》だった。

《椿姫》には、ベルカントの超絶技巧的なものの残滓があるからまだ良いとしても、ドイツ語、英語曲は、彼女の声の妙技を披露するものとしてはともかく、ベルカントの夕べにふさわしかったかは疑問である。

筆者がいいたいのは、折角の力量が活かしきれておらず勿体ないなあということだ。《チーロ・イン・バビロニア》でも絶世の美女の役どころで、素晴らしいアリアもあるのに、チーロ役のポドレスと比較すると大分拍手が少ない。ポドレスがあまりに素晴らしいということもあるのだが、プラットが様式的にもっと決めてくれれば、評価はさらにずっと高まるだろうと思うのだ。

ロッシーニ・オペラ・フェスティバルを通じて(このリサイタルもその一貫である)、オペラ上演は、それぞれ演出はまったく異なっているのだが、一つ共通点がある。それはべたなリアリズムの追求ではなくて、様式感をもった動きを見せることだ。

ベルカント、ロッシーニの音楽は様式感の高い音楽なので、それにふさわしい演出となれば、日本で言えば能や歌舞伎がそうであるように、様式感の高い動きが求められる。歌や歌における感情表出もそういった型の美しさにのっとった表現が求められるのだ、

(訂正)
Bowiesさんよりアンコール曲についてのご教示を受けました。筆者の勘違いが判明しましたので訂正します。アンコール曲はグノーの《ロメオとジュリエット》で当然フランス語です。(うーん、フランス語には聞こえなかったー曲を知らなかったのが間違いの根本原因です、はい)。
英語の歌は、バーンスタインの《キャンディード》のクネゴンデのアリア Glitter and Be Gay だそうです。(どこかで聞いたことはある、という感じで、とても曲名は判りませんでした)
Bowies さん、ありがとうございました。

|

« 《ランスへの旅》(ROF 2012) | トップページ | 指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ »

コメント

私もこの会場におりました。実は昨年プラットにはあまりいい印象を持たなかったので、アミーチの申し込みではこのリサイタルの切符を買わず、現地に行ってから「去年よりはずっと良くなった」と聞いて購入しました。いいところもあれば悪いところもある...まだまだ完成の余地はあるかもしれません。ドイツ語とおっしゃっているのは、グノーの《ロメオとジュリエット》のアリアのことでしょうか。確かにフランス語には聞こえませんね(笑)。英語の曲はバーンスタインの《キャンディード》のクネゴンデのアリア、Glitter and Be Gayです。

投稿: Bowles | 2012年8月23日 (木) 15時43分

ご指摘ありがとうございました!
お恥ずかしい。
《ロメオとジュリエット》、聞かねばいけませんね。前から気になっていたのですが。
《キャンデォード》は、どこかで聞いた曲だぞ、とは思ったのですが、ミュージカルかな、とかトンチンカンなことを思い、隣のベルカントのことは詳しげなイタリア人に尋ねたら知らないと言われ、曲は確定できずこんな書き方になってしまいました。
ご指摘をうけ記事を訂正させていただきます。
本当にありがとうございました。

投稿: panterino | 2012年8月23日 (木) 16時16分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144339/55475734

この記事へのトラックバック一覧です: ジェシカ・プラット・リサイタル:

« 《ランスへの旅》(ROF 2012) | トップページ | 指揮者ダニエーレ・ルスティオーニ »