《ルサルカ》
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ロイヤル・オペラの公演ドヴォルザーク作曲クヴァピル台本の《ルサルカ》を観た(2月27日)
ストーリーは、ほぼアンデルセンの人魚姫と同じである。
水の妖精が、王子に恋をし、魔女に頼んで姿を人間に変えてもらうのだが、そのかわりに口が聞けなくなってしまう。
一週間一緒にいても、口を聞けないため王子はルサルカに愛想をつかしてしまい、よその王女と親密になってしまう。
王子の愛が得られなければ、ルサルカは水の世界に戻らなければならないが、そのためには人間の生き血であがなう必要があると魔女が言う。
その生き血のために森番と料理人が犠牲になるかどうかは演出によって異なる(今回は逃げるのみ)。
王子はいちどはよその王女と親密になるがルサルカのことが忘れられない。そこでルサルカのところへまたやってくるのだが、そして二人がどうなるのかも演出により様々である。
今回の演出では、ルサルカは王子に捨てられたときに、生き血が必要と言われ、ショックをうけ、自分の腹を切って血まみれになり死ぬ(死んだように見える)。
その後、生き返って、王子に接吻をすると、王子が死ぬ(死んだように見える)。立ち尽くすルサルカで幕
このプロダクションは2008年のザルツブルク音楽祭のものと同じである。現代服で、水の精たちのいる場所にはソファーがおいてあり、水の精たちはミニスカートなのだが、ルサルカは最後までジャージのようなパンツ(ズボンです)をはいているのは冴えなくて歌手に気の毒だった。
あらかじめDVDを3枚ほど観たが、どれもまったく演出が異なる。こうしたアレゴリカルな民話は演出の可能性、幅が広げやすいと言えるだろう。
うしろにスクリーンがあって水の世界を映し出すのは効果的だったと思う。水の精や、ルサルカおよびWater Goblin 役などの服装および室内の内装がもう少しすっきりしていればと思った。また、そこにマリア像らしきものや十字架が置いてあるのは、意味不明というか、かなり無理のある解釈だと思う。
歌手はタイトル・ロールが Camilla Nylund (発音が判らないので原語で記します。以下同様)
Water Goblin (男の水の精、ルサルカの父的役割)アラン・ヘルド。魔女Agnes Zwierko.
王子ブライアン・ハイメル。指揮はYannick Nezet-Seguin .
オーケストラの合奏能力はものすごく高いとは言えないのだが、曲やフレーズに表情をつけるのがうまい。語り口がうまいのである。ここがどういうセリフか、どういう場面かがよく判るように音楽的表情をつけていく。劇音楽の経験が豊かというのはこういうことか、とも思う。
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