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2011年11月 1日 (火)

«グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独»

Gould グレン・グールドのドキュメンタリー映画«グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独»を観た(渋谷・アップルリンク)

監督は、ミシェル・オゼ。率直に言えば、グールドの伝記映画だから観に行ったのであり、監督の映画的手法その他に興味があったわけではない。

伝記的内容で一点、衝撃的内容があったので以下に記す(映画を観る前に知りたくないという人は読まないでください)。

衝撃的だったのは、グールドが女性と暮らしていた時期があったということだ。これまで、何本かのグールドの伝記的映画やテレビ・ドキュメンタリーを観たことがあるが、一人暮らしで、電話をかけるけど、途中からは発信専用にしてしまったといった奇人ぶりはいろいろなエピソードが語られてきた。

しかし、これまである期間、女性と暮らしていたとは知らなかった。僕など、漠然と、グールドは同性愛者だったのかなと思っていたくらいだ。

今回の映画では、グールドと交流をもった何人かの女性が登場して語るのだが、もっとも驚いたのは、コーネリア・フォスという人妻である。彼女は作曲家ルーカス・フォスの妻で子供が2人あった。婚姻関係が破綻していると彼女は認識し、グールドと親しくなる。彼女は子供二人を連れて、グールドの住むトロントにやってきて一緒に暮らしたのである。

コーネリアは離婚するつもりだったが、夫は妻と縁りをもどそうとする。一方、グールドはコーネリアの子供との関係も上手く築いていたのだが、多量の薬(抗鬱剤など)の摂取のためか、奇矯な行動が一層増え、さらにコーネリアに対する束縛も強くなり、最終的にコーネリアは子供を連れて夫のもとへ帰っていく。

共同生活は約4年間であったらしい。

映画に出てくる断片からも、グールドが若い時のピアニズムは圧倒的に素晴らしい。あの独特の奏法の源泉がグールドのピアノの先生アルベルト・グレーロにあったことの説明も説得力があった。ルース・ワトソン・ヘンダーソンという女性が説明するのだが、奏者の指の上から教師が指先を押していく、すると反射で音を出した後にすぐ鍵盤から指が離れる。そういった練習をするとこういう弾き方になるといって弾いたヘンダーソンのピアノはグールド的奏法であった。ただし、彼女が言うように、奏法が同じでも彼の技巧は図抜けていることも明らかとなるのだが。つまり、グールドの演奏は、奏法自体が独特であることと、彼のテクニックが抜群であったことの掛け合わせ(もちろん対位法をどう表現するかなどの解釈とあわせて)で効果をあげているということが良く判った。

グレン・グールドというピアニストに関心があればとても面白い映画だと思う。アップリンクは渋谷駅から東急本店の右側をさらに奥へ進んでいったところにある。椅子の大きさ形がばらばらのユニークな映画館で、グールドを観るのにふさわしい気がした。

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