《デル・グリッロ侯爵》

マニオ・モニチェッリ監督の《デル・グリッロ侯爵》を観た(九段・イタリア文化会館)。
アルベルト・ソルディがデル・グリッロ侯爵を見事に演じている。この侯爵、大変ないたずら者で、果物をほしごる領民に松ぼっくりを投げつけたり、暖炉で焼けたコインをめぐんでやけどをさせたり。
時代は1807年で、教皇はピオ7世(パオロ・ストッパ)。グリッロ侯爵は、ピオ7世が移動するときの椅子を担ぐ貴族の一人なのだが、まったく信心深くない。
それどころか、フランス軍がローマに進駐すると、もう時代が変わったのだと考え、母親の大反対にもかかわらず、フランス人と付き合いを深め、自宅にも招いたりする。
招く一人は、女性オペラ歌手。当時のイタリアではカストラート(去勢して高音の出る男性歌手)が活躍していたのだが、ナポレオンはカストラートを禁止して女性歌手を舞台に登場させる。それが、ローマではスキャンダラスなことであったのだ。劇場は大騒ぎとなるのだが、デル・グリッロ侯爵は、女性歌手が気に入り、深い仲となってしまう。
この他、デル・グリッロ侯爵と炭焼き職人が、そっくりの風貌のために、王子と乞食のようないたずらも思いつき実行する。階級が異なるとどうふるまいが違い、口の聞き方が異なるのか、ソルディは見事に演じ分けている。
また、侯爵の悪友に、破戒僧がいて、最後にギロチンにかけられそうになる。刑場で、この破戒僧は思い切り悪態をつくのであるが、この口調がベニーニに良く似ている。二人のそっくりさんの入れ違えも含め、ベニーニは、傑作《ジョニーの事情》を作る際に、随分この《デル・グリッロ侯爵》から学びとっていることがあると思った。
この映画は、ナポレオンがイタリアに進出した1807年のローマを描いており、教皇庁とフランスは対立している。教皇やローマの貴族から見ると、いかにフランス軍、フランス人がとんでもない輩に見えるかがおもしろ可笑しく描かれている。侯爵は、新たな時代は、フランス革命によって切り開かれると信じているのであるが。。。
いろいろな意味で啓蒙的でかつ、文句なくおかしい映画であった。
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