«ランスへの旅»
ロッシーニのオペラ «ランスへの旅»を観た(ペーザロ、ロッシーニ劇場)。
これは若手歌手が中心の上演で、ここで評判がよいと翌年から主要演目に出演したりするのだという。
たとえばYijie Shi(台湾出身のテノールで、日本の東邦音大で学んでいる)は2008年に«ランス»に出て、翌年には«オリー伯爵»の主人公を歌っているし、今年は«エジプトのモーゼ»でモーゼの兄アロンネを歌い喝采を博していた。とても素直な発声で、きれいな声の持ち主である。
さて«ランス»(フランスの地名としてはランスだが、イタリア語発音ではレイムスとなる。ヨーロッパ諸国は互いに互いの地名をなまって発音しているので、日本語表記でどちらをとるかは厄介な問題だ。単なる地名なら、その国の発音表記で良いのだが、作品名となると作品が作られた国の発音をとるのか、その地名のある場所のいわばオリジナルの地名発音をとるのか.ドニゼッティの«ランメルモールのルチーア»は、イギリスのスコットの原作ではランマームアのルーシーとなるわけである)であるが、舞台装置はミニマムで、海辺に8、9つの真っ白のデッキチェアが一列に並んでいる。
そこへ登場する人物たちも全員真っ白の上下のジャージのようなものを着ている。伯爵夫人は白だがバスローブを羽織っており、頭にもタオル?のようなものをかぶっているので違いがわかる。
このオペラ、ストーリーはどうでもよいというか、ランスへ向かう途中で落ち合った人たちのなかでちょっとした恋愛関係が生じていろいろあるが、最後はシャルル10世(カルロ・デーチモ)が登場してめでたし、めでたしとなる。
女性歌手として活躍したのは伯爵夫人のマリア・アレイダと女詩人のエレーナ・ツァラゴヴァ。また、特筆すべきはモデスティーナ役で藤谷佳奈枝さんが出ていたことで、彼女はアリアこそないものの演技をする場面は多く、その演技がコケティッシュでチャーミングであり、会場からも大きな喝采を浴びていた。
指揮はYi-Chen Lin。台湾出身の女性指揮者。颯爽と、また決然として振り、テンポも心地よい。東洋出身の才能ある若手指揮者の登場を喜びたい。
全体として楽しいオペラだし、舞台装置は最小限であるが、歌の競演をこころゆくまで楽しめた。字幕はなし。女詩人は舞台正面のパルコに登場してそこで歌ったのは印象的かつ効果的だった。
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