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2011年8月 7日 (日)

«仮面舞踏会»

Unballoinmaschera4300x199_2 スフェリステーリオ・オペラで«仮面舞踏会»を観た。

スフェリステーリオは野外劇場で、楕円を真っ二つにした形をしており直線部分が舞台奥の壁となっていて広大な面積を持っている。今回の演出はそこに3つの画面を設定してテレビ中継の形をとっている。

写真では3つとも星条旗が映っているが舞台が進行すると、中央の画面には歌手のアップの画像が、左右の画面には舞台全体の画像が映し出される。

時代は、かなり現代に近く設定されており、リッカルドは赤いオープンカーに乗って登場するし、リッカルドやレナート、まわりの者は軍服のような制服を着ている。

«仮面舞踏会»はもともとリッカルドが王の設定だったのだが、検閲の関係でやむなくイギリス統治下のアメリカで、リッカルドは総督という設定に替えられたのだが、今回の演出はアメリカ色を前面に出しているというか前景化している。

演出は、スフェリステーリオ・オペラ・フェスティヴァルの芸術監督でもあるピエル・ルイジ・ピッツィ。現在80歳だが、カクシャクとしているし、実物を間近に見ても男の色気を感じさせる存在である。

指揮はダニエーレ・カッレガーリ。出だしは穏やかな表情、テンポだったが、途中では、聞いたこともないような速さで振り切ったところもあった。

リッカルドのステーファノ・セッコは快演。よく声が出ていたし、リッカルドになりきった表情(声も身振りも)で、会場の喝采を浴びていた。

アメーリアはテレーザ・ロマーノ。アップの画面で見る顔の表情など内的葛藤を見事に演じていたのだが、高音域がやや苦しかった。中音域などとても豊かに響く声なので聞きごたえはある。

レナートはマルコ・ディ・フェリーチェ。健闘。ウルリカはエリザベッタ・フィオリッロ、ビブラートがやや多いが豊かな声量。オスカルはグラディス・ロッシ。最初から女性秘書の役として出ている(通常はいわゆるズボン役)。時代が現代なので、女性役として出すのは納得がいく演出だった。好演。

ヴェルディを現代化するのは、どうも感情移入しにくいのではあるが、そういう僕にとっても面白いと思った点が2つあった。

一つは歌手の表情のアップ。演技が身体レベルだけでなく、顔の表情レベルで伝わるので、こちらの感情移入をその分助ける効果がある。

また、アメリア(とリッカルド)が墓場にいく場面では、麻薬中毒患者とおぼしきものたちが、たむろしていたり、痙攣していたりした。なるほど現代の魔界は単なる墓地では足りないのかと思った次第。

全体としては、歌手が健闘したこともあって、現代化演出のわりには満足できた。

なお、前日のリゴレットでもこの日の仮面舞踏会でも、舞台奥の壁にイタリア語歌詞が字幕として映し出される。仮面舞踏会で言えば3画面の間に入る形である。

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