«ボルゴーニャのアデライデ»
«ボルゴーニャのアデライデ»を観た(ペーザロ、ロッシーニ劇場)
ストーリーは、10世紀半ば。イタリア王ロターリオが妃アデライデ(ブルゴーニュ公の娘なので、イタリア語なまりでボルゴーニャとなる)を残し死ぬ。
実権を握るべレンガリオは、自分の息子アデルベルトをアデライデと結婚させようと画策する。が、アデライデは拒絶し、そのため放浪を余儀なくされる。
アデライデは最終的に皇帝オットーネに助けを求め、オットーネはそれにこたえる。
今回の上演は、オットーネを演じたダニエーラ・バルチェッローナ(写真向かって右、メゾソプラノ)が圧巻であった。彼女は背が高く、偉丈夫とも言うべき堂々とした体躯の持ち主で、声量は豊かだし、コロラトゥーラの技量も高く、たたみかけるところは駆け抜けて、文句なく素晴らしい。
ついでべレンガリオを演じたバス、ニコラ・ウリヴィエーリも堂々として聞きごたえある歌をきかせてくれた。
タイトル・ロールのアデライデを演じたソプラノのジェシカ・プラットは丁寧な歌だがやや線が細い。声量がやや小さく、また勢いにのってほしいと思う場面で丁寧さに傾いてしまうきらいがあった。丁寧に歌うのはよいのだが、オペラセリアであっても、ロッシーニならではの勢いにのって走り抜ける快感を期待するのは見当違いではあるまい。
指揮はデミトリ・ユロフスキ。オペラ・セリアとしての様式感を構築することに意を用いているのは理解できるが、スピード感は将来に期待すべきか。
オーケストラと合唱はボローニャ歌劇場。
演出はピエル・アッリ。前半はほぼ全面的にスクリーンを使用。2分割されたり、4分割、8分割となったり、時間の経過とともに大きさが変わったりする。城の場面では、城の俯瞰図と、廊下、部屋が同時に映し出されたりする。スクリーンの多様は評価の分かれるところだった。
ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルだけあって、歌手の力量の差はあるものの、様式的に違和感のある人は皆無。音楽的に様式がそろっている気持ちのよさは得難い経験である。
ロッシーニ劇場でも、イタリア語字幕が舞台上方に表示されていた。
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