《シチリア、シチリア》
映画《シチリア、シチリア》(ジュゼッペ・トルナトーレ監督)を観た。
この映画は、1930年代から1980年代にかけてのシチリアのある町に生きるペッピーノとその家族の生活を描いた大河ドラマで、上映時間は151分だが、長すぎるというよりは、むしろ描くべきことに対して時間が足りないという感じすらした。
原題は、Baarìa で、これは舞台となったバゲリアという町の地元での呼び名。主人公ベッピーノは監督の父がモデルで、実話に近いらしい。
《ニュー・シネマ・パラダイス》から20年が経過しているわけだが、監督の語り口は、さりげなく、淡々としたものになっている。
ファシストの時代、共和制か王制かの国民投票、戦後の不完全な農地改革、総選挙など歴史的事象が節目、節目に織り込まれている。それもそのはず、主人公は共産党員なのである。
むろん、政治だけが描かれているのではなく、地元の画家が、地元の庶民をモデルにして聖人画を教会の壁に描くエピソードはアイロニーとユーモアに充ちている。
フェッリーニの《アマルコルド》を思わせる作品だが、冒頭で少年が空を飛ぶのは、フェリーニの《8と2分の1》の引用かもしれない。
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