『イタリア国民国家の形成』
イタリア統一150周年を記念して『イタリア国民国家の形成』が出版された。
編者は、北村暁夫・小谷眞男。僕も関係者の一人なので、この項目は宣伝を兼ねています。ご了承ください。
イタリアが国家統一を果たした1861年から150周年を来年3月に迎える。国家統一した時点では、それまでいくつもの国に分かれていたのだから、文化的にも、政治経済の面でも、また法律面でもばらばらであった。
それをどうやって統一し、国民国家を形成していったのかが本書のテーマである。
序章では、編者の北村暁夫氏により、イタリアの国民国家形成を理解するためにどんな問題意識が必要なのかが丁寧に解き明かされる。
それ以降、1章から10章まで、10人の著者によって、中央政府と地方の関係、選挙制度、イタリア法の整備、移民、福祉、捨て子、南部問題、現代詩の突破口など様々な問題が語られている。
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コメント
ご無沙汰しております。
本日、購入致しました。
不勉強なので、内容の理解が追いつかないですね。
実家からゼミの教科書を掘り起こそうと考えております。
なお、あえて10章から読み進めております。
投稿: Raimondi | 2010年12月27日 (月) 00時36分
Raimondi さん
お久しぶりです。お買い上げいただき恐縮です。
一般読者ということを考えると、まず序章の『イタリアにおける国民国家形成の理解のために』を読んでいただくのがよろしいかと思います。
そこから第7章の『見捨てられた婚外子』を読まれてはいかがでしょう。これはいわゆる捨て子の問題を扱った章です。話が具体的で、捨て子の中には、父母ともそろっているのに孤児院に預けられ、大きくなってから元の両親に引き取られるという例も少なくはなかったことなど驚きの情報があります。
その後は、第8章の『南部とは何か?』あるいは第5章『流出する民を統治できるのか』を読まれるといかがと思います。南部はもちろんイタリア南部で、北部と比較して産業が発達していない、貧しい等の問題意識はイタリア統一直後から有識者の間には存在していたことが判ります。第5章は、移民の問題ですが、現代とは異なり、イタリアから出て行く人が多かったわけです。
第10章は詩の章ですが、オペラとの絡みでは、ヴェリスモとヴェルガに関する記述が少しですがあります。
政治とか法律の章は、一般読者は後回しにしてなんとなくこの時代の様子が飲み込めてから取りかかった方がよろしいかと思います。
この本が出来るまでには、合宿も何度か実施され、そこで報告を行っています。シンポジウムも開きました。この本の成立までには、編者の北村 暁夫さん、小谷眞男さんのお二人、および共著者の大変なエネルギーが注ぎこまれています。
投稿: panterino | 2010年12月27日 (月) 14時30分