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2010年12月24日 (金)

カナレット展

Canaletto_piazza_san_marco ロンドンのナショナル・ギャラリーで《ヴェニス:カナレットとライバル》が開かれている(12月17日、Corriere della Sera).

展覧会は、2011年の1月16日までで、18世紀の風景画家(vedutista)の大回顧展となっている。入場料は12ポンド。

カナレットは、ジョヴァンニ・アントニオ・カナルという名で、1697年10月7日にヴェネツィアに生まれた。この時代の最も人気ある風景画家となったが、特にイギリスの貴族らからの注文に応じて描いた。

対象を科学的な客観性を持って描き、それが啓蒙主義の合理主義的考えの広まりと歩みをともにしていた。

ヴェネツィアで1768年4月19日に亡くなった。

カナレットの絵をイギリス人に売り広めたのはジョゼフ・スミスという男で、グランド・ツアーでイタリアにやってきた貴族の子弟が買いやすいように、それまでより小さい荷物におさめきるサイズで描くようにしむけた。

そして大きなサイズの絵は自分がため込んで、それがジョージ3世の手にわたり、王家のコレクションの中核になった。

カナレットは常に批評家から高く評価されてきたわけではない。ラスキンは手厳しかったし、ベレンソンは雰囲気を描く力量は認めつつもエネルギーに欠けるとしている。ロンギにいたってようやく「偉大さ」が認められた。

カナレットのライバルには、ミケーレ・マリエスキ(1710-1743)やフランチェスコ・グァルディ(1712ー1793)がいる。後者の描くヴェネツィアはカナレットよりも苦く、憂鬱にみちているがそれはヴェネツィアの勢力が傾いているからであり、筆遣いもほとんどロココ的となっている。

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コメント

岡田温司『グランド・ツアー』(岩波新書)にもジョゼフ・スミスとカナレットの話が紹介されてますね。

グランド・ツアーはこれまで観光客を送り出すイギリスの側から扱っているものだけでしたが、岡田さんの本はそれを受け入れるイタリア側からの視点で書かれていて、おもしろいものでした。

投稿: Shibano | 2010年12月24日 (金) 15時33分

Shibano さん

ご指摘ありがとうございました。
岡田さんの本、出たときに気にかかったのに、まだ買っていませんでした。さっそく読んでみます。

投稿: panterino | 2010年12月24日 (金) 15時52分

Shibano さん

岡田さんの『グランドツアー』面白いですね。
18世紀、19世紀前半、現代高く評価されているジョットーからルネサンスの巨匠が無視されていたこと。ゲーテがイタリアにきてグエルチーノという画家を絶賛しているけれど、今では一般には知られていません。

また、グランドツアーの目的と主体がどういう階級の人間であったかを考えれば当然なのですが、ツアーの思い出とすべく、風景画と肖像画が重視されたわけですね。

ポンペオ・バトーニという売れっ子の肖像画家の絵も、どこかでなんとなくは見たことはあったのかもしれませんが、はっきりどういう画家と意識したことはこれまでなかったのですが、岡田さんの本でその意義というか、なぜ売れたのかが良く分かりました。

カナレットの絵は、昔なんとなく絵はがきみたいと思って軽んじていたのですが、トリノのフィアット社の跡地の屋上にできたアニェッリ夫妻の小さな美術館があってそこでカナレットの作品数点があるのを観て、見直すようになりました。

投稿: panterino | 2010年12月29日 (水) 12時03分

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