「イタリアオペラに行こう」
『イタリアオペラに行こう』(武田好著、NHK出版)を読んだ。
イタリアオペラの著名なアリアを語学的に解説した本である。「あらすじ」、「テーマ」、「オペラの背景」といった辞典的要素もあるが、もっとも重要なのは、アリアの対訳と語注であろう。
この本は、本として通読するというよりは、自分がCDを聴きながら、あるいはDVDを観ながら、アリアの歌詞を確認し、さらには歌詞の細かなニュアンス、その台詞の文体を理解して、オペラをより深く味わうための本ではないかと思う。
こうしたテクストや語注を読むと、たとえば、ヴェルディのオペラの台本の文体と、プッチーニのオペラの台本の違いがはっきり認識できる。プッチーニの文体は、一文が短く、口語的なのである。日本語の字幕は、どうしても意味が判りやすいことを重視するので、文体の差までは出にくいが、こうした本で文体の特徴、レトリックを理解すれば、より一層、オペラの味わいが深くなるだろう。
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