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2010年4月30日 (金)

《コズモナウター宇宙飛行士》

Photoスザンナ・ニッキャレッリ監督の《コズモナウター宇宙飛行士》を観た(有楽町・朝日ホール)。

ニッキャレッリ監督の名ははじめて聞いたが、そのはずで、この作品が長編第一作とのこと。

とてもオリジナリティーの高い青春物語だ。初聖体を受ける(小学生)の時から自分をコムニスタ(共産主義者)と考えている少女ルチャーナが主人公である。兄アルトゥーロも同じくコムニスタなのだが、彼はてんかんが持病で、さえない少年、ルチャーナは兄に対してアンビヴァレントな気持ちを抱いている。

母は未亡人になったあと、父は仲間からも真の共産党員と言われていた男なのに、ファシストと再婚してしまう。ルチャーナは当然、この継父と衝突を繰り返す。

ルチャーナや共産党の支部につどう青年たちの間には政治問題だけでなく、恋愛、性欲が絡み合い、ルチャーナは自分の恋愛感情、性欲をコントロールしきれず、次々と周囲と衝突し、問題を起こす。

このルチャーナのまなざしはまっすぐで、緩衝材がなく危なっかしくもあり、いかにも60年代を感じさせる。

監督のニッキャレッリが70年代生まれというのは驚きでもあり、だからこそ、新鮮なドラマに出来たのかとも思う。

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コメント

こんにちは。素晴らしき映画評ありがとうございます。見られなくて残念な思いが少しく癒されました。日本における環境リスク評価学を築き上げた中西準子元横国大教授のローティーンの少女時代の回想も、今の時代からするとまるで別の惑星での出来事のようで興味深かったです。

投稿: arkanal | 2010年5月 6日 (木) 08時24分

arkanal さん

主人公のルチャーナは決して模範的コムニスタというわけではなく、いろいろな試行錯誤、過ちを重ねていきます。兄に対しても暴言を吐いたりする。

そうした自分に対しても、他者に対しても、ひりひりするような摩擦・軋轢があり、彼女の中の理想を求める思想と、彼女の情念が、ごっちゃになっていく様が青春を感じさせます。

思想的バックグラウンドが舞台の一部として描きこまれているところが興味深いのですが、画像的には、ルチャーナの生活と、ソ連の宇宙飛行士の映像が交互に出てくるモンタージュが歴史的解説ではなく、(ルチャーナとガガーリンの)同時代性を感じさせる仕組みになっていて、面白かったです。

投稿: panterino | 2010年5月 6日 (木) 11時35分

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