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2010年2月16日 (火)

映画『カラヴァッジョ』

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アンジェロ・ロンゴーニ監督《カラヴァッジョー天才画家の光と影》を観た(銀座テアトルシネマ)。

バロックの光と影の天才画家の生涯を描いた映画である。生涯の終わりの地点から、フラッシュバックで、回想していくという枠組みをとっている。

撮影監督は、ベルトルッチ作品をてがけているヴィットリオ・ストラーロ。主演はアレッシオ・ボーニ(《輝ける青春》、《13歳の夏に僕は生まれた》、《心の中の獣》などで日本でもおなじみ)。ルイス・バカロフの音楽は、対抗宗教改革という時代を感じさせるもので、なかなか効果的だったと思う。

カラヴァッジョの生きたのは、1571年から1610年で、イギリスのシェイクスピア(この映画には出てこない)と重なる。有名な事件としては、ジョルダーノ・ブルーノの火刑、ベアトリーチェ・チェンチ一族の事件があり、両者とも映画に登場する。

この映画を観ると、カラヴァッジョがどういう状況で、絵を構想し、どういうモデルを起用して実際に描いたのか、そして、またそれは誰の注文か、パトロンは誰であったのか、また、パトロンを含め、当時のローマ・カトリック教会の勢力争いがどのようなものであり、パトロンの絵画コレクション、また、ローマの裏社会が貴族、高位聖職者とどうつながっていたかなど、生き生きとした形で理解できる仕掛けになっている。

カラヴァッジョは、放蕩無頼で、周知のごとく、殺人事件をも犯してしまう。宗教画を多く描いているが、道徳的に模範的な生涯などではなく、むしろだからこそ、映画の主題にふさわしいと言える。また、時代も、反宗教改革の嵐のさなかで、権力も思想も激しく動いている。

優れた芸術が、時代状況と作者の才能が切り結んだところで産出されるのだということを深く感じさせる映画となっている。


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コメント

 ついに念願の『カラヴァッジョ』をさきほど観ることができました。絵画をほんとうに観ていたのか、今まで、この我は? うちのめされました。ベアトリーチェ・チェンチの処刑やジョルダーノ・ブルーノの火あぶりの場面にも圧倒されました。枢機卿のことなどさっぱり分かりません、もういちど観ます。マルタ騎士団も嬉しく拝見しました。素晴らしい映画でした。

投稿: vit.rio | 2010年4月24日 (土) 18時20分

vit.rio さん

チェンチやジョルダーノ・ブルーノは同時代性を理解させてくれましたね。特に、ブルーノは、バロックというのが対抗宗教改革の運動のさなかで、ヴァティカンも教会内部の引き締め、締め付けに必死だったのかという気がしました。

マルタ騎士団については、いろいろ調べてみると面白そうですね。16世紀にヨハネ騎士団からマルタ騎士団に変わったのですね。つまり、ヨハネ騎士団だった時は、ロードス島に本拠地があり、十字軍と密接に関わっていたわけですが、オスマントルコの進軍によってマルタ島にうつり、その名もマルタ騎士団となったわけです。

教皇をめぐるスペイン派とイタリア派の争いなども興味深かったです。

投稿: panterino | 2010年4月25日 (日) 22時27分

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