北村暁夫 『千のイタリア』
北村暁夫著『千のイタリアー多様と豊穣の近代』(NHK出版)を読んだり、聴いたりしている。
これはNHKのラジオ放送のテクストで、AMラジオ第2放送で火曜日午後8時半から9時、再放送は水曜日午前10時15分から10時45分である。
イタリアの農村のたどってきた歴史が学問的に、しかしながら、素人にも実にわかりやすく解き明かされる。たとえば映画『苦い米』や『1900年』、はたまた『山猫』などに出てくる田んぼ、多くの家族が共同生活する農場(カシーナ)、あるいはシチリアのように農民は通いで耕作にくる制度、農場管理人など、映画の背景になっていたものが、こういう制度、こういう歴史を背景にもっていたのかと腑に落ちる。
放送は3月末までである。イタリアの紀行番組をハイヴィジョンの美しい画面で観るのもよいのだが、一歩、二歩踏み込んだ視点を提供してくれる番組、本は大変貴重である。
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コメント
大賛成です。拝聴しています。
新しい視点ができそうで、わくわくしながら耳傾けています。
投稿: vit.rio | 2010年1月27日 (水) 19時03分
vit.rio さん
ばらばらに事柄として知っていたことが、北村氏の視点、あるいは歴史学の視点によって体系化されていくのは、スリリングで、知的快感をおぼえますね。
投稿: panterino | 2010年1月27日 (水) 23時20分