007/慰めの報酬
この上もなく特殊な理由で見たので、一般の映画ファン、ましてや007のファンには意味のない、とんちんかんな感想となることをお断りします。
この映画を見たのは、冒頭にシエナが登場するからだ。いや、厳密に言えば、最初は、イタリアとおぼしきところだが、海または湖のほとりがうつり、カーチェイスとなる。シエナは内陸地なので、これはシエナではない。
カーチェイスの果てに、車の片方の扉がとれてしまった状態で、ボンドの自動車はシエナの城壁の中に入る。
そこでは秘密組織のメンバーの拷問からはじまって、ボンドは、シエナの中世の町並みの屋根の上、パリオの最中のカンポ広場、さらには地下水道での逃走劇が繰り広げられる。これは、自動車ではなく、ボンドと敵がすさまじい闘いを繰り広げながら、走り回るのである。
シエナという古都を舞台にしながら、画面は実にめまぐるしくカットが変わり、アクション全開である。ここはモンタージュの技法をたっぷりと駆使している。
筆者はアクション映画を見慣れていないので、画面的には驚きの連続であった。シエナが現れるのは、数分だろう。
その数分のために、人為的にパリオを再現し、シエナの町中にクレーン車を入れて撮影したのは、予算の潤沢な映画ならではの醍醐味である。パリオは、本当のパリオの時は、カメラが設置できるところはきわめて限られるので、わざわざカンポ広場に特殊な土を運びいれ(それは本番のパリオと同じ)、撮影したのである。
映画全体は、前作の続編とのことで、最初のうちストーリーがよく判らなかった。前作で殺されてしまったある女性の復讐が一つのテーマであり、秘密組織がエコロジーの活動を隠れ蓑に、南米のボリビアで利権を獲得しようとしている、その組織との闘いがもう一つのテーマ。
アクションは、自動車あり、ボートあり、飛行機ありで、特撮はすごいなあとしかいいようがない。
町としては、シエナの他に、ロンドンも出てくる。あとは南米。
前述のように、アクション映画としての評価は僕にはくだすことが出来ない。ただ、アクションがメインで、ストーリーは非常に断片的にしか語られない映画だと言うことはできると思う。
イタリア映画の俳優ジャン・カルロ・ジャンニーニが、ボンドの旧友マティスとして登場している。これもちょっとした嬉しい驚きだった。
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