« イタリアの株価、8,24%下落 | トップページ | 学校、10月30日にストの予定 »

2008年10月 8日 (水)

ノーベル物理学賞に、イタリア人物理学者の不満

856238140x180
小林、益川両氏のノーベル物理学受賞に対し、イタリアでは、ニコラ・カビッボ(写真)が漏れたことに不満の声があがっている(10月7日、Corriere.it).

カビッボー小林ー益川行列(Matrice Cabibbo-Kobayachi-Maskawa, あるいはイニシャルをとってmatrice Ckm) と呼ばれているが、ノーベル物理学賞は、日本人、小林誠と益川敏英に与えられた。ノーベル委員会の側からは、ニコラ・カビッボへの言及が一切なかった。しかし、国際的な科学者のコミュニティは、二人の受賞者が発展させたもとの考えを生み出したのは、カビッボだと認めている。

行列の最初は、1963年にカビッボが生み出し、それを小林、益川が新たな3つのクォークを導入して完成させた。行列は、素粒子がまじりあって、微粒子をどのように形成するかを記述するためのものである。この行列は、物質の非対称性を考えるときの基準にもなっている。この研究のおかげで、自然界の根本的な4つの力のうちの1つである、弱い相互作用を研究することが可能になった。核融合反応などの研究もそこに含まれる。

イタリアの物理学界はニコラ・カビッボにノーベル賞が授与されなかったことに、苦い思いを抱いている。イタリアの物理学者からは、小林、益川とカビッボを切り離すべきではない、という声があがっている。

当のカビッボはノー・コメントである。カビッボに近い筋によれば、カビッボは苦い思いを抱いているという。

さらには、南部陽一郎の研究は、イタリア人研究者ジョヴァンニ・ヨナ=ラジニオの研究と切り離せないという。


|

« イタリアの株価、8,24%下落 | トップページ | 学校、10月30日にストの予定 »

コメント

イタリアらしく大変面白く読みました。
イタリア人の身勝手、自分中心の考え方が端的に現れていると思います。
イタリア語には遠慮、慎み深いとの単語は無いのではと思うことが多々有ります。

但し驚いたのは近代イタリアで優秀な物理学者が居る事です。

投稿: andy | 2008年10月 9日 (木) 04時20分

andy さん

そうですね。たしかに、イタリア人は、日本人と比較すると、自己主張は強い、あるいは派手だと思います。

ではあるのですが、この件に関して、日本のウィキペディアなどいくつか検索してみると、たしかにカビッボ(カビボという表記が多いがカビッボの方が正確)ー小林ー益川行列という記述があり、Corriere紙が言うように、カビッボ氏も含めた受賞もありえたのかもしれません。
また、省略して申し訳なかったのですが、元の記事には、2007年、つまり昨年のノーベル賞の寸前には、カビッボ、小林、益川の3氏が受賞するという噂がかけめぐったそうです。

イタリア近代の物理学者として有名なのは、たとえば無線のグリエルモ・マルコーニ、理論物理のエンリーコ・フェルミがいますね。

投稿: panterino | 2008年10月 9日 (木) 09時43分

 panterino様、

 イタリア人が怒るのも無理はない、と思います。matriceCKMがちゃんとあるのに、スウェーデンアカデミーの気持ちが分かりません。このような出来事は枚挙に暇が無い、のでしょう。たまたま日本の研究者が話題になっているので、考える機会を与えられますが。
 どの世界でも、分野でも、このようなことがあるのでしょう。スウェーデンアカデミーは今からでも遅くない。ただちにCabibbo氏を受賞者に加える、その勇気を持ちましょう! 禍根を残すようなことにならないように。

投稿: giacomal | 2008年10月 9日 (木) 10時26分

イタリア人には気の毒ですが、いろんな現地の新聞の見出しにでている
SCIPPATO だとか RUBATO という表現には正直引きますね。
まさか日本人研究者が盗んだ、といいたいわけではないのでしょうけど、
そういう印象(盗まれた印象)を読者に与えます。

どこのメディアか忘れましたが、カビッボ氏の発見は「難しい」ものだったが、
それを発展させたふたりの研究は「たやすかった」、という文には呆れました。
科学とそれに携わる研究者を貶める表現だと思います。

投稿: ぴちょ | 2008年10月 9日 (木) 18時37分

giacomal さん

僕も、まったく個人的には、イタリア人と日本人が共同受賞になったとしたら、日伊関係のためには良かったかな、と思ったりします。

もっとも、僕は、物理に関してまったく素人なので、カビッボ氏の業績と小林、益川氏の業績が、どちらがどれくらい画期的だったか、影響力のあるものだったかなど、見当もつかないので、スウェーデン・アカデミーの判断の妥当性、あるいは非妥当性については、なんとも言いようがないんですね。

まあ、強いて言えば、本当にそれほど連関性が高いのであれば、小林、益川氏がこれから研究について語る、あるいは書く機会があるでしょうから、その中で、適切に位置づけていただけるとありがたいなあ、といったところです。

投稿: panterino | 2008年10月 9日 (木) 21時57分

ぴちょさん

ノーベル賞も、オリンピックやワールドカップと似たような面があって、ナショナリズムをかきたてられるのでしょうね。

イタリア人のうち少なからぬ人が、自分の国の研究者が、不当にも選に漏れたと考えたために、新聞やメディアによっては、激しい言葉づかいになっているのでしょう。

僕が見たのは、Corriere と Repubblica だったので、そこまできつい表現ではありませんでしたが、ある科学者は今回の選定は大間違い(grosso errore)だと述べているのは見ました。

投稿: panterino | 2008年10月 9日 (木) 22時03分

ぴちょさん

すみません。訂正します。
Corriere 紙にも、引用符にくくられてはいますが、《Scippato Cabibbo, lo meritava lui》という表現がありましたね。そういう抗議があるということですね。
大変失礼しました。

投稿: panterino | 2008年10月 9日 (木) 22時36分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144339/42729771

この記事へのトラックバック一覧です: ノーベル物理学賞に、イタリア人物理学者の不満:

« イタリアの株価、8,24%下落 | トップページ | 学校、10月30日にストの予定 »