パリオと魔術
パリオでは、勝利を願って、あるいは敵の不運を祈って、呪術的なことも行われる(8月10日、コッリエーレ・ディ・シエナ)。
マッシモ・ビリオルシはシエナの魔術的な場所についての本の仕上げにかかているところで、9月に出版予定である。
以下、記者との対話。
マッシモ、なぜ、パリオと魔術の結びつきはこれほどつよいのですか?
「幸運を追求するという精神なんだね。マンジャの塔が建てられた時に、その基礎には《salvare dalle tempeste e dalle saette》(嵐と稲妻から護り給え)と刻まれた石が置かれたことを思い出してみるとよいだろう。聖なるものとそれを汚すものの双方が、パリオに本来そなわっている。コントラーダ同士のライバル関係は、それを一層強化するんだ」
パリオによって、魔術への依存はより強まるようですね。
「ライバル同士が出るとね。魔術は、勝つためだけでなく、相手を負けさせるためにも用いられる。可能性がみな同じくらいだと余計、超自然に頼るんだ。こういう場合、パリオで勝つには、より運が重要になるからね」
そういう儀式にとって選ばれた場所はあるのですか?
「シエナの歴史では、呪術的な場所というのは存在する。たとえばモンタペルティ(1260年にシエナとフィレンツェが戦い、シエナが勝利をおさめた戦場)だ。6月28日と29日の間の夜、8月12日と13日の間の夜には、あそこに人が集まるんだ」
みんなが同じ場所に行ったら、かち合うことも起こるのでは?
「人と人が会わなくても、ちょっと前に儀式を行った痕跡を見ることはあるね」
他のコントラーダ以上に、超自然に頼るコントラーダというのはありますか?
「それは判らない。むしろ共通してみられることだ。おそらく、勝利から長らく遠ざかると、幸運に取り入って、悪運を追い払いたいという気持ちが高まるだろう」
どうやって専門家を捜し出すのですか?
「パリオ専門の魔術師というのがいるわけではない。普通はカードを読める人間が選ばれ、その結果が、馬をとりに行く人間に伝えられる。専門家はいないので、予言の形が向いているんだ。適切な魔術師を捜し出すことが必要で、その人が馬を捕りに行く人に、お守りをくれる」
あなたもしましたか?
2005年に馬を取りにいく係になったので、一人で全部やった。勝利は得られなかったが、ベリオを引き当てた。1986年には、20年も勝っていなかったので、友達と一緒に、ヴォルテッラの魔術師のところにいって、あるモノをもらい、本当に勝利を得た。
怖くないですか?
怖くなんかないよ。楽しんで、興味を持ってやるんだ。友達と一緒にだからね。悪いことをするわけじゃないし、むしろ笑って、あとでは思い出になる。
| 固定リンク


コメント