« パリオをめぐるエピソード(2):トッレ | トップページ | シエナ最後のポデスタ、死去(1):シエナ銀行の救済 »

2008年8月19日 (火)

ユダヤ人のリソルジメント

Serpentebiblicoヴァレリオ・マルキ著 《Il serpente biblico》(聖書の蛇)が出版された(Il Sole 24 Ore, 8月17日)。

この本は、トリエステの弁護士で、国会議員(1892-1913)で、ユダヤ人のリッカルド・ルッツァットの伝記である。

彼はリソルジメントに深くかかわり、反聖職者至上主義(anticlericale, 要するにカトリック教会の権威に反対の立場)だったため、敵から《Il serpente biblico》(聖書の蛇)という侮蔑的なあだ名をつけられたのである。

ルッツァット家は古いユダヤの家系で、もともとは、アシュケナージ(ドイツ系ユダヤ人)である。ヴェネトやフリウリに15世紀から住みついた。

父マルコは、リソルジメントの考えを支持し、オーストリアの牢獄に入ったこともある。兄弟のアドルフォはサンマルティーノの戦い(1859年の対オーストリア戦争、イタリア第二次独立戦争)に狙撃兵として参加し、リッカルドもわずか18歳で、ガリバルディの1000人隊とともにクヮルトから出撃した。

Irredentista(未回復地併合主義者)で、フリーメイソンで、急進主義そして共和主義者で、1911-12年のイタリアのリビアに対する武力干渉を支持し、第一次大戦には志願兵となり、70歳で、銀メダル勲章を授与されている。

ルッツァットは、イタリアのユダヤ人のリソルジメントにおけるパトスを集約しているともいえる。数々の輝かしさの反面、多少の影もある。ローマで司法省の建物が建設された時に、落札業者から謝礼をもらったと言われている。

もっと大きな政治のゲームに巻き込まれていた可能性もある。ともかく、1913年には国会議員辞任に追い込まれた。

1923年に亡くなる数年前に、彼はムッソリーニに近づいた。1919年3月23日にミラノのサン・セポルクロ広場で Fasci italiani di combattimento が誕生したときには参加していた。

この本は大変丁寧に、時には丁寧すぎるほどに、文献調査がなされている。

ルッツァットは、確信的な反教権主義者で、彼の激しい論説は、敵からも激しい反応を引き起こした。フリウリのカトリックの新聞から攻撃されたのである。時は non expedit (イタリア・カトリック教徒の国会議員選挙投票および立候補が、教皇により禁じられていた)の時代であった。

ユダヤ人国会議員の積極的行動は古い偏見を刺激した。こうして、リッカルド・ルッツァットは《Il serpente biblico》であるという、政治的な悪意にみちた攻撃が生じた。

本は、Valerio Marichi 《Il serpente biblico. L'on.Riccardo Luzzatto in Friuli fra culto della patria, antisemitismo e politica (1892-1913)》, Kappa Vu, Udine, 494 ページ、22ユーロ。

|

« パリオをめぐるエピソード(2):トッレ | トップページ | シエナ最後のポデスタ、死去(1):シエナ銀行の救済 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/144339/42213161

この記事へのトラックバック一覧です: ユダヤ人のリソルジメント:

« パリオをめぐるエピソード(2):トッレ | トップページ | シエナ最後のポデスタ、死去(1):シエナ銀行の救済 »